Netflix『私というパズル』20分以上にも及ぶ長回しの出産シーン

Netflixで配信中の『私というパズル』について紹介したいと思います。

地獄のような辛い物語ですが、見てよかったと心から思える映画でした。

ネタバレなしです。

 

私というパズル

あらすじ

出産を控えているマーサは夫のショーンと話し合い、自宅で出産することを決めていた。

ある日、陣痛が激しくなり信頼している助産師のバーバラを電話で呼ぶが、他の出産に立ち会っているため代わりにイヴが来ることに。

イヴの指導のもとマーサは必死にいきみ赤ちゃんが生まれてくるが、呼吸が安定せず産まれてすぐに亡くなってしまう。

悲しみに暮れるマーサとショーン。次第に夫婦間に溝が生じてしまう。

マーサの母は助産師のせいで死んだと言い張り、裁判で訴えようとする。

 

妻はワイルドスピード、夫はトランスフォーマー

妻のマーサを演じるのは『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』(19年)で、デッカード(ジェイソン・ステイサム)の妹を演じたヴァネッサ・カービーです。髪をかきあげる姿がとても美しく、冒頭の出産シーンやその後の悲しみに暮れる演技は迫力があります。ちなみに、誕生日が4月18日で僕と同じです(笑)。

夫のショーンを演じるのは実写版『トランスフォーマー』シリーズで主人公のサムを演じたシャイア・ラブーフです。爽やかなイメージですが、本作では髭がぼうぼうで誰だか分かりませんでした。

シャイア・ラブーフは不法侵入や酩酊行為で逮捕された過去があり、最近だと元恋人から性的暴行されたと訴えられています。この話を聞いて本作のあるシーンを見るとゾッとします。

 

出産シーンの長回し

冒頭のマーサの出産シーンは、20分以上にも及ぶ長回しで緊張感溢れる場面になっています。陣痛に苦しんでいるマーサを一生懸命サポートするショーンを見ていると応援したくなります。

マーサを演じたヴァネッサ・カービーは出産経験がないので、出産に関するドキュメンタリー映像を見て参考にしたそうです。

 

壊れていく夫婦

悲しみに暮れるマーサとショーンですが、最初は夫婦二人で支え合っていたものの次第に溝が生じてしまいます。

マーサの母親は友達に子供が亡くなってしまったことを言いふらしマーサを苦しめます。ショーンはやめていたタバコや酒、ドラッグに走ります。自宅の植物は枯れ、マーサは夫婦の営みを拒否するようになります。

夫のショーンは大きな橋を建設しているのですが、物語の月日が経つたびに橋が象徴的に映し出されます。その橋が完成するにつれて、夫婦関係が悪くなっていくのでこれは皮肉だなと思いました。

 

ザ・ホワイト・ストライプス

ミュージシャンの離婚ネタを話す場面があるのですが、ちょっと分かりにくかったので調べてみました。

マーサの家でホームパーティをするのですが、妹の夫とショーンがアメリカのロックバンドのザ・ホワイト・ストライプスについて話す場面があります。ザ・ホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトとメグ・ホワイトは二人の関係を姉弟と言っていましたが、インターネット上に婚姻届と離婚届が流出し、元夫婦であったことを認めました。

他にもアメリカの歌手・ソニー&シェールの話もするのですが、ソニー・ボノとシェールは夫婦デュオとしてヒット曲を連発しますが、1975年に離婚します。

夫婦間がぎくしゃくしている中、離婚しているバンドや歌手の話を平気でしてしまう恐ろしさ。

 

りんご

マーサは子供を失った後にスーパーマーケットで美味しそうなリンゴを買います。このリンゴが物語の象徴として何度か出てくるので、リンゴに注目して見ると面白いです。

地獄のような辛い映画ですが希望はあります。『透明人間』(20年)や『Swallow/スワロウ』(19年)に似ていると思います。

 

まとめ

冒頭の出産の長回しは初めて見ました。まだ見たことのない映像があったかという驚きと感動です。

最後まで読んでいただきありがとうございます!

 

参考文献

Pieces of a Woman (2020) – Trivia – IMDb

https://www.imdb.com/title/tt11161474/trivia?ref_=tt_trv_trv