【ネタバレ感想】『ベイカー街探偵団』少年探偵団が異常現象に挑む

こんにちは、つけものなすです。

今回は、少年少女が超常現象を調査する探偵物語『ベイカー街探偵団』(21年)について書きたいと思います。

『ストレンジャー・シングス』を彷彿とさせます。

ベイカー街探偵団

少年少女

『ベイカー街探偵団』(The Irregulars)は、2021 年3月26日に配信開始されたNetflixオリジナル・ドラマです。全8エピソードです。1エピソードは約52分。

本作は、アーサー・コナン・ドイルの代表作『シャーロック・ホームズ』シリーズの世界観に基づいて作られています。ワトソンやホームズなど、おなじみの人物も登場します。

タイトルの『ベイカー街探偵団』(The Irregulars)は、1887年に発表された「緋色の研究」に登場するベイカー街遊撃隊(Baker Street Irregulars)を基に作られています。

舞台はヴィクトリア朝のロンドン。ボロ家で暮らす4人の少年少女(ビー、ジェシー、ビリー、スパイク)。

ビーの妹であるジェシーは、悪夢にうなされ、夢遊病のように勝手に動き出し、命の危険に晒されます。病院に行く金もなく、ボロ家の家賃すら払えません。そんな時、ビーは怪しい男から、ある依頼を受けます。

その男は医者でワトソンと名乗る人物で、報酬を出す代わりに、下流社会に入り込んで、4人の赤ん坊が攫われた誘拐事件の情報収集を依頼されます。

金を必要としているビーは、ワトソンからの依頼を引き受け、誘拐事件の情報収集をします。

ヴィクトリア朝

ヴィクトリア女王がイギリスを治めていた1837年〜1901年の期間を指します。

 

超常現象

攫われた赤ん坊の姉スーザン・シプリーから当時の状況を聞いていると、突如大量の鳥に襲われます。

ビーたちは何とか逃げますが、逃げ遅れたスーザンは、鳥に目をくり抜かれ、殺害されました。鳥は超能力を得た男が操っていました。ワトソンが依頼した事件は、普通ではない超常現象が絡んだ事件でした。

悪夢にうなされているジェシーは、心の中で謎の男と出会います。その男から、他人の腕に触れるとその人の心の中に入れることを教わり、その力を使って、鳥を操る男はどこで超能力を得たのか調べてほしいと依頼されます。

その頃、血友病を患い、王室で保護されている王子レオポルドは、街中で出会ったビーに一目惚れをします。レオポルドは王室を抜け出し、王子であることを隠し、自らをレオと名乗り、ビーたちに協力します。

血友病に関しては、公式ホームページに詳しく載っています。
https://csl-info.com/hemophilia-navi/disease/index.html

5人の少年少女は、ジェシーの他人の心の中を覗く能力を駆使して、超常現象に挑みます。

 

登場人物

ビー

探偵団のリーダーです。親に捨てられ、救貧院で暮らしていたときに壮絶な体験をしました。しっかり者で責任感が強いです。

ビーを演じるのは、『Us』(20年)などに出演しているザディア・グラハムです。

 

ジェシー

ビーの妹です。悪夢に悩まされています。超常現象を調査する上で重要なキーパーソンとなります。

ジェシーを演じるのは、『ジュディ 虹の彼方に』(19年)でジュディの青年期を演じたダーシー・ショウです。

 

ビリー

血の気が多く、喧嘩っ早い性格です。ビーのことが好きなのですが、レオポルドが仲間になることにより、三角関係になります。

ビリーを演じるのは、『ハード・サン 滅亡の機密ファイル』(18年)などに出演するジョジョ・マカリです。

 

スパイク

口が達者のお調子者で、巧みな話術で捜査の手助けをします。

スパイクを演じるのはマッケル・デヴィットです。

 

レオポルド

ヴィクトリア女王の子です。王室を抜け出し、ビーたちの手伝いをします。

レオを演じるのはハリソン・オスターフィールドです。『スパイダーマン:ホームカミング』(17年)や『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(18年)では、トム・ホランド演じるピーター・パーカーの同級生として出演しています(クレジットに表記されていないほどの出演です)。

レオポルドは、実在した王子レオポルド・ジョージ・ダンカン・アルバートを元にした人物です。血友病を患い、30歳の時に転倒して頭を強く打ち、死去しました。

 

心の中に登場する男

ジェシーの心の中に現れたアメリカ人です。名前は明かされていないため、麻スーツ男と呼ばれています。

麻スーツ男を演じるのは、『ザ・ファイブ・ブラッズ』などに出演するクラーク・ピータースです。

 

ジョン・ワトソン

ベーカー街221Bの探偵事務所で働き、超常現象が絡む事件の捜査をビーに依頼します。

ワトソンを演じるのは、『ジュディ 虹の彼方に』などの出演するロイス・ピアソンです。

 

シャーロック・ホームズ

物語前半では姿を現さず、なぜかワトソンと揉めています。本作のホームズは、ある意味衝撃的でした。兄のマイクロフト・ホームズも登場します。

ホームズを演じるのは、『ザ・イングリッシュ・ゲーム』(20年)などに出演するヘンリー・ロイド=ヒューズです。

 

ネタバレ感想

ネタバレ注意

ここから先は物語の結末にも触れているのでネタバレ注意です。

歯の妖精

エピソード2「221Bの亡霊」では、歯の妖精の話が出てきました。西洋では、抜けた乳歯を枕の下に置いておくと、歯の妖精(Tooth Fairy)が乳歯を硬貨に変えてくれるという言い伝えがあるそうです。本作では、妖精ではなく、悪魔に襲われてしまいましたが。

日本でも、上の歯が抜けたら縁の下、下の歯が抜けたら屋根の上に投げるといった言い伝えがあります。世界各国で様々な言い伝えが存在するのは面白いです。

 

マイクロフト・ホームズ

エピソード2「221Bの亡霊」の最後に登場したマイクロフト・ホームズは、シャーロックの7歳上の兄です。超常現象を研究する政府機関の所長です。

マイクロフトは、シャーロックよりも洞察力が優れていると言われていますが、人間性に問題があるため、表立った活動をしていません。人付き合いが苦手な人が集まる「ディオゲネスクラブ」を設立するくらいです。ディオゲネスは、古代ギリシャの哲学者ディオゲネス・ザ・シニックのことです。

 

黄金の夜明け団

エピソード3「イプシシマス」に登場する黄金の夜明け団は、実際に存在する組織で、1888年にイギリスで創設された秘密結社です。

魔術に関する研究をしていて、『新世紀エヴァンゲリオン』(95年)にも登場する「セフィロトの樹」を構築したことで有名です。

 

シャーロックの魔法書

シャーロックが自宅に隠していた魔法書には、ワトソンやアリスと共に闇の世界に挑んだ話が書かれていました。本の中に入っていた写真には、ワトソンとアリスが写っています。

魔法書は暗号が掛けられた箱に入っており、箱には「悪魔より恐ろしいものは何か」と書かれ、暗号の答えは「いない」でした。

 

イプシシマス

イプシシマスは、本物の超能力を使える人物を指します。もっている能力は、身を犠牲にすれば他人に渡すことも可能です(エピソード3「イプシシマス」で能力を奪おうとしましたが、失敗しました)。

 

ハドソン夫人

エピソード4「針とナイフ」に登場するハドスン夫人は、シャーロック・ホームズが下宿しているベーカー街221Bを管理する女主人です。言葉が強く厳しい口調ですが、なんだかんだ情報をくれるのでツンデレです。

原作にも登場しますが、容姿やフルネームなど明かされていない謎の人物です。一部のファンからは、1917年に発表した『最後の挨拶』に登場する家政婦のマーサと同一人物だと言われています。

 

シャーロック・ホームズ

最年少でスコットランドヤード(イギリスの警察)の顧問となり、同居人のワトソンと共に様々な事件を解決し、探偵事務所を設立しました。

シャーロックが「初めて解決したホープ事件も彼に誘われて関わった」と言いますが、ホープ事件は原作の「緋色の研究」に登場します。

 

時系列

時系列がバラバラに描かれていたので、時系列に沿って物語を整理してみたいと思います。本作には、年代の詳しい説明が特にないため、一部推測となっております。

15年前、シャーロックとワトソンは、様々な難事件を解決してきました。ワトソンは、シャーロックが自分の手元から離れてしまうことを恐れ、シャーロックだけが脚光を浴びることに嫉妬していました。ワトソンは、シャーロックのことを愛していました。

シャーロックが死者との交信に夢中になっている頃、ワトソンはイディス・デュボアに出会います。

イディス・デュボアは夫を救うため、全財産を注ぎ込み、死者と交信できる聖遺物を入手しました。そのことを知ったワトソンは、聖遺物を使って「あの世」と「この世」の亀裂を開きます。聖遺物はどのような手段で入手したかは不明です。聖遺物は川に捨てられました。

シャーロックとワトソンは超常現象を解決するため、占い師のアリスに協力してもらいます。亀裂が開いたことを知ったアリスは、悪夢を見て、亀裂の場所を確かめようとします。調査を進めるうちに、シャーロックとアリスの間に子供(ジェシー)が生まれます。

ワトソンはアリスにも嫉妬し、シャーロックに自ら開いた亀裂の場所を教えます。シャーロック、ワトソン、アリスの3人は亀裂の場所に向かい、アリスは亀裂を閉じようとしますが飲み込まれてしまい、アリスと共に亀裂は消え去りました。

シャーロックは自暴自棄となり、麻薬中毒になります。原作でも、シャーロックが麻薬を使っている場面が出てきます。

15年後、再び亀裂が開きます。亀裂を開いたのはアリスでした。アリスは、精神が止まった世界(天国と地獄の間にある煉獄)にいたため、15年前と容姿は変わっていません。アリスは、世界の境界線を崩して、生と死の概念がない平和(?)な世界を作ろうと企みます。

亀裂が再び開いたことにより、ロンドンは悪夢に襲われます。ワトソンは調査を再開し、超常現象の調査をビーたちに手伝ってもらいます。その頃、麻スーツ男はジェシーの心の中に入り、亀裂の場所を探るよう依頼します。

ビーたちは、様々な異常現象を解決していきます。

麻スーツ男とシャーロックは、ロンドン地下鉄のアルドゲイト駅に亀裂が生じていることを突き止め、麻スーツ男は魔法円を描き、亀裂を解放しようとします。魔法円は手書き感があって、ちょっとダサかったと思いました。

麻スーツ男は、親友に恋人ができたことに嫉妬し、その時に初めてイプシシマスの能力を使いました。嫉妬という面では、ワトソンと同じです。

麻スーツ男を止めるため、ジェシーは恐怖を与え戦い、麻スーツ男は足を滑らせ転落します。死亡したかは不明です。麻スーツ男は、これから起こる戦争などの残酷な未来を見て、人間に絶望し、ジェシーと息子を結婚させて、イプシシマス帝国を築こうとしていました。

ビーたちが悪夢に苦しむ場面があるのですが、スパイクだけ悪夢を見ている描写がなかったのが気になりました。後にジェシーが苦しんでいる悪夢だったと説明がありますが、スパイクのキャラクターの掘り下げが少なかったように感じました。

アリスとシャーロックは亀裂の中に飛び込み、亀裂と共に消え去ります。ビーに過去の素晴らしい思い出を見せる回想シーンは、本作で一番良かったシーンでした。

亀裂は閉じられ、平和な世界がやって来ます(?)。

レオはヨーロッパに旅立ち、ヘレナ・オーガスタと結婚するため、ビーに別れを告げます。ジェシーとスパイクは恋人関係となります。

ビーは、ひとりぼっちになってしまいますが、最後はワトソンに抱きしめられます。平和な世界が訪れて、ハッピーエンドといった終わり方ではありませんでした。

聖遺物やイプシシマス、向こう側の世界など、詳しく説明されていない要素が多かったです。次シーズンが作られた際には、全ての謎が解決してくれることを願います。

 

まとめ

謎が残る終わり方だったので、次シーズンに期待します。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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