【ネタバレ感想】『プラットフォーム』ドン・キホーテを読んでいた理由と数字の意味

こんにちは、つけものなすです

今回は、現代の縦社会をホラー要素を使って描いた映画『プラットフォーム』を紹介したいと思います。

一言で言うと、垂直スノーピアサーです。

 

プラットフォーム

『プラットフォーム』は、2019年に公開されたスペイン映画です。アメリカだと2020年にNetflixで配信されていますが、日本は2021年に劇場公開されました。

日本でもNetflixで配信していたようですが、途中で配信を止めて劇場公開にしたっぽいです。経緯は不明ですが、お金の匂いがするので闇を感じますね。

監督は、本作が長編映画デビューというスペインの新鋭(公式サイトより)ガルダー・ガステル=ウルティアです。本作はトロント映画祭などで多くの賞を受賞しました。

主人公の男ゴレンが目を覚ますと、そこは四角い部屋の中で、真ん中には四角い穴が空いています。穴の下を覗くと、四角い部屋がずっと続いています。部屋にはベッドや洗面台、トイレが備え付けられ、壁には48という数字が刻まれています。向かいには、男(トリマガシ)が1人いました。

上から四角い台(プラットフォーム)がゆっくり降りてきて、ゴレンのいる部屋に止まります。台の上には大量の残飯が残っていて、トリマガシは残飯にも関わらず急いで食べています。ゴレンはその様子に驚いていると、台は次の階に降りていきます。

 

食事

48という数字は、現在いる階数を示しています。途中で最下層は200階であることが分かります。なので、食事を乗せている台は最下層の200階まで降りていきます。最下層に到着する頃には、残飯すら残っていません。

食事の時間も決まっていて、台が下に降り始めたら食事をしてはいけません。台が降りているにも関わらず食事を続けたり、食べ物を持ち出そうとするとその部屋の温度が上がり、焼死するまで上がり続けます。逆に、凍死するまで温度が下がるパターンもあります。

トリマガシは食事終えると、下の階の人が食べるにも関わらず、残飯に唾を吐いたり小便をかけたりします。上の階の人に食べ物を残せと文句を言いますが、下の階には嫌がらせをします。下の階の人を見下すことによって自分の権威を主張します。下の階のことは全く考えていません。

どうやったら上に上がることができるのか。各部屋には2人の人間がいて、階数が1ヶ月ごとに変わるルールがあります。どの階数に当たるかはランダムです。

この建物には一つだけ持ち物を持ち込めるルールがあります。主人公はスペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスの小説「ドン・キホーテ」を、トリマガシは包丁を持ち込んでいます。

 

建物に入った理由

ゴレンは学校の卒業資格を得るために自ら志願して入りました。トリマガシは殺人を犯し、精神病棟に入るかこの建物に入るか迫られ、建物に入ることを選びました。強制的に入れられる人や自ら志願して入る人がいます。

ある期間を生き残ると、入る時に約束したこと願いを叶えることができます。ゴレンは学校の卒業資格、トリマガシは出所することです。願いによって期間が変わるようです。

 

ドン・キホーテ

「ドン・キホーテ」は、1605年にスペインの作家ミゲル・デ・セルバンテスが発表した小説です(1615年に後編を発表)。騎士道物語に没頭し、現実と空想の区別がつかなくなった老人ドン・キホーテが、農夫のサンチョを連れて冒険に出かける物語です。

ドン・キホーテは現実と空想の区別がつかないため、目の前の風車を巨大な悪者だと思い突撃したり、ただの宿屋を城だと思い亭主に騎士として叙任を願い出たり、ドン・キホーテの狂人っぷりを面白おかしく描いています。それに対してサンチョがツッコミのように訂正していくところが面白いです。

ドン・キホーテは頭のおかしい老人ですが、誰もが諦めるような無謀なことにも挑戦する勇敢な騎士にも見えてきます。見方によっては、狂人にも英雄にも見えます。

ゴレンは皆んなで協力すれば全員に食事が行き渡り、生き残ることができると思い他の階の人に呼びかけます。しかし、誰も聞く耳をもたずドン・キホーテのように笑われます。物語後半では現実の闇はもっと深く、自分は理想主義だったことに気付きます。

 

配信状況

Netflix
Amazon Prime Video
U-NEXT (レンタル)

 

ネタバレ感想

ネタバレ注意
ここから先は物語の結末にも触れているのでネタバレ注意です。

ゴレンはバハラットと協力して建物のシステムを変えようとします。管理者に異変を知らせるため、パンナコッタを食べずにそのままの状態で上に返そうとします。

ゴレンとバハラットは負傷しながらも最下層を目指していきますが、最下層は200階よりも深く333階ありました。建物には666人の人間がいる計算になります。台の上に置いてある食べ物だけでは到底足りません。

666という数字は悪魔の数字と言われ、新約聖書のヨハネの黙示録には「ここに知恵が必要である。賢い人は、獣の数字にどのような意味があるかを考えるがよい。数字は人間を指している。そして、数字は666である」と記されています。この建物が悪魔、地獄であることを現しています。

最下層には、飢えた子供が1人いました。ゴレンたちは、お腹を空かせた子供を見捨てることができずパンナコッタを食べさせます。バハラットは息絶え、ゴレンと子供でさらに下へ降ります。333という数字は、アセンデッドマスターと一体になるという意味があります。アセンデッドマスターは、天界にいる高尚な魂のことで、イエス・キリストやブッダのことを指します。

333階にいる子供は天と繋がっていることを示し、子供を希望として上に返すことにします。ゴレンのその後の様子は詳しく描かれていませんが、イエス・キリストが人類を罪から救うように、自ら犠牲になったように見えました。

余談ですが、ゴレンとバハラットが降りていく時に、おじさん2人がビニールプールに浸かっていましたが、あれは何をしていたのでしょうか(笑)。調べてみると、本作の脚本を担当したDavid DesolaとPedro Riveroだそうです。こういう遊び心は好きです。

 

まとめ

資本主義の嫌なところをホラー要素を使って面白く描いていました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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