【ネタバレ感想】『サンティネル』PTSDを患う女性兵士の復讐劇

こんにちは、つけものなすです。

今回は、PTSDを患った女性兵士が、何者かに襲われた妹の復讐のため、手段を選ばずに犯人を追うフランス映画『サンティネル』(21年)について感想を書きたいと思います。
上映時間は80分と短く、見やすいです。

サンティネル

PTSD

『サンティネル』(原題:Sentinelle)は、Netflixオリジナル映画です。監督は、『土と血』(20年)のジュリアン・ルクレルク。『土と血』も上映時間は80分です。

フランス陸軍の通訳としてシリアに従軍する女性兵士のクララ。士官学校を首席で卒業し、5カ国語を話せる超エリートです。しかし、現地での任務に失敗し、目の前で子供が自爆してしまいます。

彼女は異動することになり、家族のいるニース(フランス南東部の都市)に帰還し、フランス軍の歩哨作戦に参加します。フランスではテロなどの襲撃事件が多発し、テロの脅威から国民を守るため、2015年1月12日に、兵士が要警戒地域を巡回する歩哨作戦を発動しました。現在では、1日に1万名を動員する規模になっています。

母親や妹との再会に喜びますが、悲惨な戦場を目撃した彼女の心は傷ついており、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を患っていました。薬を飲んで治療を続けますが、医師からは薬物依存の危険性があるため、セラピーを受けてから再び投薬すると診断されます。

歩哨作戦に参加して街を巡回しますが、街中に置いてあるバッグに爆弾が入っているのではないかと、あらゆることに危険性を感じてしまいます。海辺で男女のカップルが喧嘩をしていると、力づくで止めようとして、上官に違反行為だと注意されます。残りの薬が僅かとなり、病院では処方してもらえないため、闇ルートを通じて薬を手に入れます。

主人公のクララを演じるのは、『007 慰めの報酬』(08年)でボンドガールを演じたオルガ・キュリレンコです。クララが話せるのは5カ国語ですが、彼女は6ヶ国語も話すことができるそうです。役よりも本人の方がすごいのは驚きました。彼女は2020年3月15日に新型コロナウィルスに感染していることを自身のインスタグラムで公表しています。その二週間後には回復したことを公表しました。

 

ナイトクラブ

クララは妹に誘われ、ナイトクラブに行きます。妹はVIPルームにいるロシア人と仲良くなります。クララは男性には興味はなく、クラブで知り合った女性とキスを交わし、夜な夜な踊り明かします。

翌朝、妹と連絡がつかないことを心配していると、警察から連絡がきます。妹は何者かに襲われ昏睡状態となり、病院に運ばれていました。警察官は、今朝に浜辺で通行人に発見され、検査の結果から強姦された可能性があると話します。

彼女は昨夜のナイトクラブが怪しいと思い、妹を襲った犯人を探します。ここから彼女の復讐劇が始まります。

 

ネタバレ感想

ネタバレ注意
ここから先は物語の結末にも触れているのでネタバレ注意です。

クララはナイトクラブで妹と一緒にいたロシア人の男が怪しいと思い、そのことを警察官に聞くと、ロシア人の男はイヴァン・カドニコフという人物で、父親がI T長者のレオニド・カドニコフなので、大きな影響力をもつため下手に捜査ができないと告げられます。

警察官は頼りないので、自ら捜査を進めます。歩哨中、カドニコフの豪邸に侵入し、怪しい人物がいたので銃を構えますが、同僚に止められます。流石に正面突破はやりすぎです。暴走したクララを上官が注意しますが、注意する場所が女子更衣室だったので驚きました。他人に聞かれたくないことは分かりますが、女子更衣室をノックもなしに入るのはちょっと…。

ナイトクラブに潜入し、トイレでイヴァンを尋問します。イヴァンは「俺は何もしていない」の一点張りです。トイレで男たちと戦う彼女の姿は、『アトミック・ブロンド』(17年)のシャーリーズ・セロンみたいです。

再びカドニコフの豪邸に正面から侵入しますが、見張りに捕まり水責めに遭います。レオニドは「息子(イヴァン)は女に興味はなく、俺がやった」と自白します。特に動機はなく、影響力が大きいI T長者はやりたい放題です。

再び水責めに遭いますが、見張りを粉砕して逃げ出します。その後は何事もなかったように過ごし、「嵐のあとの新しい風になりたい」と書かれた陸軍のポスターを見ます。これは実際にあるポスターのようです。

病院へ行くと、妹は目を覚まし、あの夜に何があったのか話します。妹は、裁判沙汰になるのは家族に迷惑がかかると心配します。彼女は「そんなことない」と説得しますが、聞いてくれません。テレビでは、レオニドがロシアに帰国しようとするニュースが流れています。

妹の容体が急変し、容体を悪化させたナースの格好をしている怪しい女と戦います。急いで自宅に戻り、パスポートを手に取ります。車と武器(脅して)を手に入れ、レオニドのもとに向かいます。母親から電話が来る場面では、「レオニドの手下に捕まった!?」と思いましたが、近くにいたのは警察官だったのでホッとしました。警察官は必ず裁判に持ち込むと説得しますが、彼女は応じません。誰にも彼女を止めることはできません。

彼女は歩哨兵になりすまし、レオニドを追い詰めます。部下諸共殺害し、息子のイヴァンも殺害しますが、元凶のレオニドは生き残り、復讐を果たすことは出来ませんでした。

舞台は変わり、3ヶ月後のドバイ。豪邸のプールで泳いでいるレオニド。家政婦に果物を部屋まで持ってこいと言い、家政婦は部屋まで届けますが、その家政婦の正体はクララでした。彼女はフォークを手に取り、レオニドをめった刺しにします。

最後は、ベンチに座る妹を遠くから見守るクララの姿で幕を閉じます。妹が生きていて良かったです。

 

まとめ

全体的に物語は淡々と進み、戦闘も淡々とこなし、特に何かあるわけでもなく淡々と終わります。犯人を捕まえるために正面突破するのは、流石にリアリティを感じられませんでした。

士官学校を首席で卒業し、5カ国語を話せるクララの頭脳を活かしきれていない気がします。80分で気軽に見られるのが良い点という、何とも惜しい映画でした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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