【ネタバレ感想】『ムクドリ』誰かを救うことによって自分が救われる

こんにちは、つけものなすです。

今回は、娘を亡くした夫婦がムクドリを通じて再生する物語『ムクドリ』(21年)について書きたいと思います。

ムクドリをきっかけに、物語が動き始めます。

ムクドリ

突然

『ムクドリ』(原題:The Starling)は、2021年9月24日から配信開始されたNetflixオリジナル映画です。上映時間は1時間44分。原題の「The Starling」はムクドリという意味なので、原題と邦題の意味は同じです。

監督は、セオドア・メルフィ。出演は、メリッサ・マッカーシー、ティモシー・オリファント、クリス・オダウド、べロニカ・ファルコンなど。

ジャックとリリーの夫婦は、一年前に生まれたばかりの娘を亡くし、悲しみに暮れています。

ジャックは精神的にひどく落ち込み、うつ病を抱えているため、治療のために施設で暮らしています。リリーはうつ病一歩手前の状態で、仕事も手につかない状態です。スーパーマーケットで子供用品を見ると娘のことを思い出し、思わず立ち止まってしまいます。

リリーは毎日のようにジャックと面会しますが、お互い打ち解けることができず、夫婦の間に亀裂が生じていきます。ジャックは薬を処方されますが、飲んだふりをします。カウンセリングを受けても、治る気配はありません。

うつ病一歩手前のリリーを心配した施設の先生は、元同僚のラリー・ファイン博士を紹介します。

 

1羽のムクドリ

リリーは自宅にいると、ジャックや娘のことを思い出してしまうため、子供部屋やリビングの家具を処分します。

施設の先生から紹介してもらったラリー・ファイン博士の病院を訪ねます。ラリーの病院の患者は人間ではなく、犬や猫などの動物で、ラリーは獣医でした。10年前に心理療法家から獣医に転職していました。

ラリーは飼い主と話そうとしないため、助手の女性はいつも大変そうです。リリーは施設の先生の紹介で来院したと伝えると、相談にのってもらえることになります。

リリーは前向きになるため、自宅の庭掃除を始めると、ムクドリに襲われ怪我をします。ムクドリを撃退するため、あらゆる対策を試しますが、どれも効果は出ません。

リリーとジャックは面会時に一緒に散歩をしていますが、二人の距離はどんどん離れてしまいます。夫婦の間に亀裂が生じてしまいましたが、一羽のムクドリをきっかけに、物語は動き始めます。

 

登場人物

リリー

ジャックの妻。スーパーマーケットで働いている。リリーを演じるのは、メリッサ・マッカーシーです。

Melissa McCarthy(@melissamccarthy) • Instagram写真と動画

 

ジャック

リリーの夫。小学校の美術教師をしていた。ジャックを演じるのは、クリス・オダウドです。

chris o’dowdさん (@BigBoyler) / Twitter

chris o’dowd(@chrisodowd) • Instagram写真と動画

 

ラリー・ファイン博士

心理療法をしていたが、現在は獣医に。ラリーを演じるのは、ケヴィン・クラインです。

 

予告編

 

配信状況

ムクドリ

 

ネタバレ感想

ネタバレ注意
ここから先は物語の結末にも触れているのでネタバレ注意です。

ジャック

リリーはムクドリを撃退するため、有害生物の駆除剤を購入し、自宅の庭に罠を仕掛けます。スーパーマーケットの仕事から帰宅すると、自宅の庭で罠にかかった鳥が死んでいるのを見つけます。やりすぎたと反省し、鳥の死体を埋めます。

リリーはソファでくつろいでいると、娘の靴下を見つけます。リリーは靴下の匂いで娘のことを思い出します。娘を思い出させる家具は全て処分していましたが、靴下だけ残っていました。思い出はまだあります。

リリーはラリーの自宅を訪ね、ジャックについて話します。娘を亡くしてからジャックは眠りにつくことができませんでした。ある夜、寝ているはずのジャックがベッドにいなかったので探しに行くと、車庫にある車で自殺を図ろうとしていました。

ラリーは「娘を亡くした怒りの矛先が動物に向けている。最悪の場合、自分自身を傷つける」と話します。面会では娘のことではなく、ジャック自身のことについて話した方が良いと助言をもらいます。

リリーは面会で夫婦のことについて話しますが、子供部屋の家具を処分した話をすると、ジャックは怒ってしまい、面会拒絶されます。リリーは帰りの車で酷く落ち込み、よそ見をして対向車とぶつかりそうになり、交通事故寸前となります。

 

子供の死因

子供の死因について詳しく言及していませんが、おそらく乳幼児突然死症候群(SIDS)でしょう。乳幼児突然死症候群は、予兆があるわけではなく、突然起こり、原因不明の病気となっています。仰向けにして寝かせるなど、発症率が低くなる予防法があるそうです。

 

ホステスのスノーボール

リリーは面会時に必ずホステスのスノーボールを渡します。これはジャックのお気に入りで、二人の思い出の品でもあります。マシュマロの中にチョコレートのスポンジとクリームが入っていて、1個160カロリーもあるそうです。ちなみに、スノーボールは『ゾンビランド』(09年)にも登場します。

Hostess Snacksさん (@Hostess_Snacks) / Twitter

 

ムクドリが襲う理由

リリーは庭の手入れをしていると、再びムクドリに襲われます。ムクドリに苛立ち、木の上に登りますが、そこには巣がありヒナがいました。ムクドリは巣や子供を守るため、リリーを襲っていました。

リリーはスーパーマーケットで誤って商品を大幅に値引きしてしまい、レジは大混雑となります。ジャックは子供を脅かしてしまい、担当者に取り押さえられます。二人とも上手くいきません。

リリーは育てた植物を壊そうとしますが、実がなっているのを見つけ我に帰ります。命に触れると、少し前に進んでいきます。鏡を見て「私にはできる」と鼓舞します。

二人を心配したラリーはジャックと面会し、「リリーと話し合ってくれ」と言いますが、ジャックは聞く耳を持ちません。

リリーは自宅の庭で職場の同僚と話をしていると、ムクドリが襲いかかってきます。近くにあった石を投げると、ムクドリに命中します。ムクドリはその場に倒れ、危篤状態となります。慌てたリリーは、急いでラリーの病院に運びます。ムクドリは一命をとりとめ、リリーが自宅で看病することになります。

ジャックは部屋のクローゼットから、大量の処方薬とスノーボールを取り出します。ジャックはグループ・カウンセリングに出席し、初めて自分のことについて話します。

ジャックは娘が亡くなったことを原因に逃げ出していましたが、20代の頃からうつ病で苦しんでいました。リリーについて「希望と信頼を胸に全力で生きている妻が憎くて愛おしい」と話します。妻から逃げていましたが、逃げずに前に進もうとします。リリーと電話し、今まで言えなかったことをお互い言い合います。

 

誰かを救うことによって、自分が救われる

ムクドリは夫婦で協力して巣を作り、子育てをしますが、庭にいたムクドリは一羽で過ごしていました。どんな動物も一人では生きていくことはできません。リリーの看病により、ムクドリは回復し、外の世界へ羽ばたいていきます。リリーは泣きながら見送ります。

ジャックは退院することができたため、リリーと共に暮らします。再び気が沈んで鬱状態に陥ってしまうかもしれませんが、医師の言った「良い日もあれば、悪い日もある」を思い出し、夫婦で支え合って乗り越えていきます。

ラリーは患者の話を聞かないで有名でしたが、リリーと触れ合っていくうちに、患者に寄り添っていきます。誰かを救うことによって、自分が救われます。

 

ペンギンが教えてくれたこと

本作は、『ペンギンが教えてくれたこと』(21年)に似ているなと思いました。

『ペンギンが教えてくれたこと』は、三人の子供をもつ母親が不慮の事故に遭い、下半身不随となってしまいます。

車椅子生活を余儀なくされ、子供の面倒を見ることができず酷く落ち込んでいると、子供たちが怪我をしているカササギを見つけます。

カササギをペンギンと名付け、飼うことにします。母親はペンギンと触れ合っていくうちに、前に進み始める物語です。

 

まとめ

誰かを救うことによって自分が救われる良い映画でした。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

参考文献

The Starling (2021) – IMDb

https://www.imdb.com/title/tt5164438/

 

ムクドリ – 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

https://filmarks.com/movies/98876

 

乳幼児突然死症候群(SIDS)について|厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/sids.html

 

Orange

https://www.hostesscakes.com/products/snoballs/orange/

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