【ネタバレ感想】誰もが童心に帰れる映画『ベスト・キッド』

不良グループに喧嘩で負けた少年が、空手の大会でやられた相手にリベンジする映画『ベスト・キッド』(84年)について書きたいと思います。

後半は物語の結末にも触れているのでネタバレ注意です。

 

新天地

主人公のダニエルは母親と二人暮らしで、母親の仕事の都合上ニュージャージーからカリフォルニアへ引っ越すことになる。新天地では友達も直ぐにできてビーチでサッカーをする。そこにいた少女・アリに一目惚れをするが、バイクに乗った不良グループが来てリーダーのジョニーはアリに話しかける。アリはジョニーの元彼で、ジョニーは復縁を迫ろうとする。嫌がっているアリを見たダニエルは止めに入るが、返り討ちに遭ってしまう。

ダニエルを演じるのは、アメリカの俳優ラルフ・マッチオです。2018年には本作の正式な続編として、Netflixで配信中の『コブラ会』(18年)にダニエル役で出演しています。

ダニエルの恋人アリを演じるのは、アメリカの女優エリザベス・シューです。当時はハーバード大学在学中でしたが、勉学を一旦中断して本作の撮影をしたそうです。『ザ・ボーイズ』(19年)では、ヴォート社の副社長マデリン・スティルウェルを演じています。

 

壮絶ないじめ

喧嘩したダニエルはジョニーに目をつけられ学校で嫌がらせを受ける。心配するアリ。自宅で独自の空手の練習をしていると、水道を修理するため宮城がやってくる。喧嘩して顔にあざがあるダニエルに宮城は「手は無事でよかったな」と小粋なジョークを言う。ダニエルは空手道場を訪れるが、空手の練習をしているジョニーがいたので逃げるように立ち去る。その帰り道、ジョニー率いる不良バイク軍団が自転車に乗っているダニエルを囲み、ダニエルは土手の坂道に転げ落ちる。嫌気がさしたダニエルは自転車をゴミ箱に叩きつけ、母親に「こんな所嫌だ!」と言う。

壮絶ないじめに遭うダニエルですが、一目惚れしたアリと一緒にいるのが唯一の希望です。

いじめの描写は容赦ないので、見ていると腹が立ちます。宮城が強い人だと分かって見ているので、早く助けてくれーという感じで見ていました。

 

宮城

ダニエルは学校から帰ると、壊れた自転車が直って家の前に置いてあるのを見つける。自転車は宮城が直していた。ダニエルはお礼に行くと宮城から盆栽を貰う。学校ではハロウィンの仮装パーティで盛り上がり、トイレの個室にいるジョニーを見かけたダニエルは、ホースを引っ張り上から水をかけ仕返しをする。ダニエルが犯人だと分かったジョニー率いる不良軍団は、逃げるダニエルを追いかけ追い詰める。一方的に殴られるダニエル。そこへ、宮城が助けにきて空手で不良を蹴散らす。

ダニエルはシャワーのコスプレをしているのですが、Googleで検索するとコスプレ商品として何件かヒットするので実際にあるんですね。斬新なコスプレで笑いました。来年のハロウィンは、シャワーのコスプレをしている人を探そうかな(笑)。その時はダニエルと声をかけたいです。

ダニエルが殴られている時に、フェンスを登っている宮城の姿が映っているのですが、ダニエルが殴られそうになった瞬間に宮城が登場する方が良かった気がします。漫画みたいな展開を期待しました。主人公がやられてしまいもうダメだと思って次のページをめくると、誰かが助けに来てくれるみたいな。リメイク版だと漫画みたいになっています。

 

宮城の過去

宮城に助けてもらったダニエルは、宮城を師として空手を教わることに。ダニエルと宮城はジョニーのいる空手道場を訪れ、少年空手選手権で決着をつけることになる。空手の大会に出場することになったダニエルは、修行として自動車のワックス磨き、床やすり、塀塗り、ペンキ塗りをする。雑用ばかりで修行ではないと思い嫌気がさしたダニエルは宮城に不満を言うが、その動作が空手に通じていたことに気付く。修行に明け暮れるダニエルは、自宅で酒に酔っぱらっている宮城と話す。宮城は戦争で多くのドイツ兵を殺し、奥さんと子供は出産の合併症で亡くなったと明かす。

宮城が歌っていた演歌は、阿部武雄が作曲した「裏町人生」(70年)という曲です。

第二次世界大戦下、日本の真珠湾攻撃をきっかけに日米戦争が勃発しました。当時、アメリカの西海岸に住んでいた日系アメリカ人は敵とみなされ強制収容所に入れられました。宮城の奥さんは収容所に入れられ医者の手当を受けることができず亡くなりました。ダニエルが見ていた新聞に載っているのは、マンザナール強制収容所のことです。この収容所は映画『愛と哀しみの旅路』(90年)の舞台にもなっています。

師弟の関係を見ているとクリント・イーストウッド監督の『グラン・トリノ』(08年)を思い出しました。

 

悪質

自動車の免許を取得したダニエルは、宮城から誕生日プレゼントとして車を一台貰うことに。ダニエルは修行に励み、宮城から貰った車でアリとデートする。そして、少年空手選手権の日がやって来る。試合のルールも知らないダニエルと宮城は、試合をしながらルールを覚え勝ち進んでいくが、準決勝でダニエルは対戦相手に足を負傷させられる。

ダニエルがもらった車は、本作のプロデューサーがラルフ・マッチオに実際にプレゼントしたそうです。いい話です。

試合のルールも知らないのは流石に笑いました。師弟共に修行に没頭しすぎです(笑)。

相手のコーチの強要で負傷してしまうダニエルを見ると、どこかの大学のアメフト部のコーチが悪質なタックルを強要したニュースを思い出します。ホントに腹立たしいです。

 

チャンピオン

負傷したダニエルは試合に出られる状況ではないが、宮城の助けを得て何とか試合を続行することに。決勝戦はダニエルとジョニーの戦い。足を狙えとコーチから強要されたジョーは、ダニエルの足を狙い負傷を悪化させる。それでも立ち上がるダニエル。片足ながらもジョニーに一発いれ、ついにジョニーを破りチャンピオンとなる。

負傷した足に追い討ちをかける場面は痛々しかったです。それでも立ち上がり続けるダニエルに心を打たれました。

ダニエルがチャンピオンになって直ぐにエンドロールが流れるのは『ロッキー』(76年)を思い出しました。余韻はエンドクレジットで浸るものだと。それでも、もう少し抱き合う場面が見たかったですね。

 

まとめ

師弟共に成長してく物語に感動しました。

少年ジャンプを見ているかのように、ロッキーを見ているかのように、自分も強くなれる気がします。

いや、強くなった気がします(笑)。

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