【ネタバレ感想】『キッド・コズミック』真のスーパーヒーローを目指す物語

こんにちは、つけものなすです。

今回は、田舎町に住む少年がパワーストーンを拾い、スーパーヒーローを目指すアニメーション『キッド・コズミック』(21年)について書きたいと思います。

 

キッド・コズミック

パワーストーン

『キッド・コズミック』(Kid Cosmic)は、Netflixオリジナルのアニメーションです。全10エピソード(各話20分前後)。監督は『パワーパフガールズ』シリーズのクレイグ・マクラッケン。

パワーストーンをもつ宇宙船が、謎の宇宙人に襲撃され、地球に墜落します。

アメリカの田舎町(ニューメキシコ)に住む少年キッドは、スーパーヒーローに憧れています。両親は交通事故で亡くなり、パパG(おじいちゃん)に面倒を見てもらっています。そんなある日、キッドは5つのパワーストーンを拾います。指輪のようにストーンをリングにくっつけ指にはめ、愛車のスピットファイア(自転車)を乗りこなし、町に繰り出します。

ニューメキシコは宇宙人と戦っても誰も気付かないくらい田舎町で、「ロズウェル事件」など未確認飛行物体の噂が絶えない地域です。

キッドは町の人にパワーストーンを見せびらかしますが、誰にも相手にされません。

緑色のパワーストーンを使おうとしますが、何も起こらず日が暮れてしまいます。どう使っていいか分からず、パパGから言われた「慌てた時は深呼吸」を思い出します。すると、スーパーマンのように飛び回ることができるようになります。

スーパーヒーローの誕生です。

 

チーム

本作は子供、ティーン、老人、猫という異色のヒーローチームを結成します。

紫色のパワーストーンを手にするのは、ティーンエイジャーのジョーです。テレポーションのリングを出し、リングを潜ると好きなところにワープすることができます。ジョーは母親のカフェでウェイトレスとして働き、都会に憧れをもっています。

青色のパワーストーンを手にするのは、4歳の子供のローザです。自身の体や手に持ったものを巨大化させることができます。ローザはキッドからパワーストーンを奪い巨大化します。キッドとジョーは、巨大化して暴れ回るローザを止めるのに大苦戦しますが、宇宙人にパワーストーンを奪われそうになるところを助けてもらい、仲間となります。

黄色のパワーストーンを手にするのは、キッドのおじいちゃんのパパGです。自身の体を分身させ、分身した体に指示を送り、自由自在に動かすことができます。キッドの面倒を見ている良きおじいちゃんですが、良きおじいちゃんが仇となり、チームの崩壊につながってしまいます。

赤色のパワーストーンを手にするのは猫のツナです。キッドが無くした赤色のパワーストーンを拾いました。未来に危険が迫ると予言できる能力があり、予言を察知すると額に赤い目が浮き出てくるので、見た目は怖いです。後半では、ある意味人間の言葉を話せるようになります。

チームを結成して宇宙人と戦いますが、緑色のパワーストーンを使うキッドは空を飛べることしかできず、腕力などの力はないので敵を倒すことができません。戦闘で活躍することができない自分に対して嫌気が差してきます。

子供向けだと思って見ていたのですが、後半では人間の内面も描いていて、子供だけでなく大人でも見られるアニメーションになっています。

 

ネタバレ感想

ネタバレ注意
ここから先は物語の結末にも触れているのでネタバレ注意です。

八百長

戦闘で活躍できないキッドを気にかけたパパGは、宇宙人(ロボット)を装い、キッドに戦闘で勝たせます。

八百長とは知らずにヒーローとしての自信がついたキッドは、町の人にヒーローであることを明かし、パワーストーンについて話します。しかし、町の人はパワーストーンのせいで宇宙の侵略者に狙われていることを知り、パワーストーンを宇宙人に返せと言います。キッドはデスドッグを倒して、ヒーローの必要性を訴えることにします。

デスドッグは首輪の穴に針金を刺し、3秒経つと倒すことができます。カフェで戦いをするときにレコードを流す展開は大好物です。チームの活躍によりデスドッグを一掃しますが、キッドは一体も倒すことができませんでした。能力をもたないジョーの母親でさえ、一体倒しています。町の人には「お笑い担当」、ジャックには「才能と頭脳とお金のないバットマン」だと馬鹿にされます。

キッドは自信を取り戻すため、ロボットに勝利した時の映像を見ますが、最後に映っていたのはロボットに変装するパパGの姿でした。

八百長で勝利したことを知ったキッドは、馬鹿にされたことを挽回するため、ジョーたちからパワーストーンを盗み、5つのリングを使ってグレート・リーダーに挑みます。5つのパワーストーンを同時に使うと能力は暴走してしまい、力を使い切って倒れてしまいます。キッドはダークサイドに堕ちて、サノスになってしまうのかとヒヤヒヤしました。

5つのパワーストーンを手に入れたグレート・リーダーですが、デス・ドックの大群に襲われ、呆気なくパワーストーンを渡して帰還してしまいます。まさかの弱キャラでした。

デス・ドックを操っていたのは、政府の人間でした。長官の黒ずくめは、いつもカフェでコーヒーを飲んでいる、第一話から登場している帽子を被ったヒゲモジャのおじさんでした。伏線がきいています。

 

政府

政府が絡んできて物語は面白くなってきます。

政府は町の周辺を封鎖して、カフェの近くに司令室を設けます。キッドは行方不明となり、ジョーたちは政府の監視下に置かれ、地球には謎の宇宙艦隊が迫ってきています。

捕まったジャックとツナは脱出を図り、仲間を集めます。ツナはジャックの翻訳機を使い、ある意味話せるようになります。まさかここまで猫が活躍するとは思いませんでした。自力で話すジャックは、スティッチみたいな声になります。

政府はパワーストーンを使う特殊部隊(地球フォース防衛タスクフォース)と共に、宇宙人と戦います。フォースはゴレンジャーみたいで、急にテーマソングが流れるので思わず笑いました。ここは吹き替えの方が盛り上がります。

フォースは宇宙人を一掃しますが、ジャン女王、赤色ロボット、マスター・ウィクゾン、毛むくじゃらの巨人と新たな脅威が現れます。

フォースと宇宙人の戦いを見ているキッドは、宇宙人は自分の色のパワーストーンだけを取り返そうとしていることに気付きます。宇宙人は悪党ではなく、自分のパワーストーンを取り返そうとしているだけでした。そして、もう一つ気付きます。真のヒーローは、特別な能力をもっていなくても困っている人を助けることを。この場面は、子供心を忘れたときに見ると、グサッと胸に刺さります。

 

真のヒーロー

パパGは密かに作っていたコスチュームを全員に配り、キッドは仲間と共に宇宙人と人間の戦いを止めようとします。

黒ずくめの指令室に潜入し、宇宙人は悪党ではないと説明しますが、黒ずくめは聞く耳をもたず、キッドたちを捕まえます。

宇宙人を全員捕まえアメリカ万歳的な展開になりますが、ジャックのネバネバ舌を使ってキッドはパワーストーンを取り返します。怒りに狂った黒ずくめは、ジョーたちのいるところに車で突撃します。キッドは能力を使い人や物を浮かせ、衝撃から身を守ります。緑色のパワーストーンは、心を使って物を操るテレキネシスの能力をもっていました。キッドは空を飛んでいたのではなく、自分を動かしていました。

キッドは5つのパワーストーンを宇宙人に返します。パワーストーンは、惑星キラーのエローディアスによって破壊された母星のカケラで、手にすると星の住人と同じ能力を使うことができます。

宇宙人との戦いから6ヶ月後、倒れたジャン女王が現れます。彼女は仲間と共にエローディアスと戦い、深傷を負いました。他の仲間は生き残ることができず、倒すには13個のストーンが必要だと話します。彼女は銀河の平和をキッドたちに託し、最後の力を振り絞ってカフェ一帯を宇宙に飛ばします。

13個のストーンとあまりにも多い数ですが、この先はもっと壮大な世界観になりそうな予感です。次シーズンも期待です!

 

参考文献

Close Encounters of the Retro Kind: Craig McCracken Discusses His New Show ‘Kid Cosmic’ | Animation Magazine

https://www.animationmagazine.net/streaming/close-encounters-of-the-retro-kind-craig-mccracken-talks-kid-cosmic/

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