【ネタバレ感想】『暗黒と神秘の骨』深い闇に立ち向かう少年少女のファンタジー

こんにちは、つけものなすです。

今回は、ダークファンタジー・ドラマ『暗黒と神秘の骨』(21年)について書きたいと思います。

登場人物や用語が多いですが、面白いです。

暗黒と神秘の骨

影溜まり

『暗黒と神秘の骨』(原題:Shadow and Bone)は、2021年4月23日に配信開始されたNetflixオリジナル・ドラマです。全8エピソード。1エピソード約51分。

原作は、リー・バーデュゴの小説「魔法師グリーシャの騎士団」、「Six of Crows」に基づいた物語です。脚色を担当するのは、『バード・ボックス』(18年)や『メッセージ』(16年)などを手掛けるエリック・ハイセラー。出演は、ジェシー・メイ・リー、ベン・バーンズ、フレディ・カーターなど。

昔々、影溜まりという深い闇が発生し、ラヴカ王国は東と西に分断されました。影溜まりにはヴォルクラと呼ばれる怪物が現れ、近付くことはできません。

東ラヴカには、魔法が使えるグリーシャがいます。炎を放つインフェルニ、心を操るハート・レンダー、傷を癒すヒーラーなど、様々な魔法が存在します。

幼い頃にグリーシャかどうか判定するテストを受け、グリーシャと判明した者は王宮で暮らし国に仕えます。身分の高い貴族のような扱いを受けるので、それをよく思わない人が多々います。

魔法を使うグリーシャは危険な存在として扱われることもあり、フョーダ人はグリーシャを悪魔だと主張し、誘拐や殺害を繰り返しています。

 

東ラヴカ

東ラヴカは敵国と戦い、多くの兵力を失いました。西ラヴカから増援を呼ぶために、影溜まりを破壊することを急いでいます。しかし、西ラヴカでは、独立を求める声が大きくなり、国自体も分断されようとしています。

孤児院で育った主人公のアリーナは地図製作者、幼馴染のマルは追跡者となり、東ラヴカの部隊に属しています。アリーナは、親が敵国のシュー人のため、差別を受けています。

アリーナは国から脱出することを考えますが、南には山があり、北にはグリーシャの敵が潜んでおり、国を出るには影溜まりを渡るしか方法がありません。影溜まりは、太陽の召喚者と呼ばれる聖人なら破壊するができる言い伝えがあります。

アリーナとマルは食糧不足を解決するため、影溜まりを渡った先にある西ラヴカを目指す危険な任務に就きます。部隊は船で影溜まりに突入しますが、深い闇の中にいるヴォルクラの襲撃を受けます。ヴォルクラの襲撃で部隊は崩壊寸前ですが、謎の閃光が走り、ヴォルクラたちは一掃されます。光を放ったのは、アリーナでした。

 

ギャング

一方、東ラヴカから西に渡り、海を渡った先にあるカーチ島のケテルダムでは、カジノを仕切るギャング団のクロウが裕福な商人から、ある依頼を受けます。

依頼内容は、大金と引き換えに、東ラヴカに存在する太陽の召喚者を探すことでした。影溜まりを渡り、西へ渡ることができた地図製作者から話を聞き、太陽の召喚者の存在を知ります。

太陽の召喚者が現れたことにより、物語は動き始めます。

 

登場人物

アリーナ・スターコフ

両親を影溜まりで亡くし、孤児院で育ち、地図製作者となりました。出身はケラムツィン。アリーナを演じるのは、ジェシー・メイ・リーです。James Humphrysが2021年に発表した「Three Weeks」のミュージックビデオに出演しています。

 

マルイェン・オレツェフ

孤児院で育ち、追跡者となりました。アリーナとは幼馴染です。マルの愛称で呼ばれています。マルを演じるのは、『ヴォイジャーズ』(21年)などに出演するアーチー・ルノーです。

 

キリガン将軍

第2軍の指揮官で闇の魔術を使います。キリガンを演じるのは、『ナルニア国物語/第2章: カスピアン王子の角笛』(08年)などに出演するベン・バーンズです。

 

カズ・ブレッカー

クロウのリーダー。片足が不自由で杖を使って歩いています。一部の人からはダーティー・ハンドと呼ばれています。カズを演じるのは、フレディ・カーターです。

 

イネジュ・ガファ

クロウのメンバー。14歳の時に弟と誘拐され両親と離れ離れに。売春宿で働いていたところ、カズに引き取られます。イネジュを演じるのは、アミター・スマンです。

 

ジェスパー・フェイヒー

クロウのメンバー。銃の達人でギャンブルが好きです。ジェスパーを演じるのは、キット・ヤングです。

 

ネタバレ感想

ネタバレ注意
ここから先は物語の結末にも触れているのでネタバレ注意です。

登場人物や用語が多かったのでエピソード毎に振り返りながら感想を書きたいと思います。

 

エピソード1

孤児院で育ったアリーナは製図製作者、マルは追跡者となり、国の部隊に属しています。部隊は食糧不足を解決するため、影溜まりを渡った先にある西ラヴカのノヴォクリバースクを目指します。

危険な作戦にマルが選ばれてしまい、アリーナは影溜まりの対岸の地形を記録した地図を燃やし、地図製作者として部隊に同行することになります。マルと一緒にいるためなら何でもします。

部隊は船で影溜まりに突入しますが、深い闇に潜むヴォルクラに襲われ、部隊は壊滅状態となります。絶体絶命の中、閃光が走り、ヴォルクラを一掃します。光を放っていたのは、アリーナでした。

一方、カーチ島・ケテルダムでは、カズが裕福な商人ドレーセンから依頼を受け、ハートレンダーのミラナを雇います。ギャングのライバルであるペッカ・ロリンズも同じことを考えています。

西ラヴカのノヴォクリバースクでは、影溜まりから生還した地図製作者を保護します。地図製作者は影溜まりで起きた出来事を思い出すことができないため、ミラナの力を使います。

地図製作者は、アリーナが太陽の召喚者であることを説明します。全てを話すと、地図製作者はドレーセンに銃で撃たれ殺されてしまいます。

 

エピソード2

影溜まりから帰還したアリーナは、グリーシャであることが判明します。アリーナは、太陽の召喚者として小王宮に招かれ、マルとは離れ離れになります。

小王宮へ向かう途中、フョーダ軍の精鋭ドゥルスケラに襲われますが、キリガンに助けられます。ドゥルスケラは、グリーシャを悪魔だと主張し、誘拐や殺害を繰り返します。エピソード6で判明しますが、ニーナの居場所をドゥルスケラに教えたのは、ズラタン将軍でした。

一方、カズは影溜まりを渡る方法を探しますが、ペッカ・ロリンズに邪魔をするなと脅されます。カズとペッカは何かしらの因縁があるそうですが、そのことについてペッカは覚えていません。因縁については最後まで語られませんでした。

イネジュは、へリーンから暗殺依頼を受けます。暗殺の対象者は、人身売買をしている調達業者です。へリーンは、暗殺を遂行すれば自由にすると約束します。イネジュは多くの刃物を身につけ戦闘に慣れていますが、殺人を犯したことはありません。

カズはポピーに会い、イネジュが暗殺依頼を受けたことを知ります。ポピーは、カズがクロウ・クラブを奪ったと主張し、カズは取引だったと弁明します。この場面で、カズは「ダーティ・ハンド」と呼ばれていることが分かります。

イネジュは暗殺対象の男を殺そうとしますが、間一髪のところでカズに止められます。男は脱走兵や難民を戦地から逃がし、影溜まりを渡る方法を知っていました。ヘリーンはカズの邪魔をするために、影溜まりを渡る方法を知っている男を暗殺させようとしました。

カズはヘリーンと交渉し、クロウ・クラブを担保に、イネジュを開放することを約束します。カズは全財産を賭けイネジュを解放し、影溜まりを渡る大仕事に取り掛かります。

 

エピソード3

アリーナは、牡鹿の夢を見て目覚めます。小王宮では今までの生活とは違い、大勢のお手伝いさんが身支度を整えてくれます。テーラー(仕立てるもの)のジェンヤは、魔法を使ってアリーナの体の傷を治します。アリーナは国王の前で力を披露して訓練に参加します。

図書館で、宗教的助言者のアパラットからグリーシャの歴史を教えてもらいます。最古のグリーシャである骨細工師は、迫害されることを恐れ、能力を強化させるために研究を行ってきました。骨細工師は、自分の指の骨から生物を生み出しました。生み出した生物を殺し、体内に入れることでその能力を得ることができると言われています。

アリーナは、アパラットからバグラを紹介され、力を得るための訓練を受けます。キリガンは、グリーシャの力を増大させることができる力をもっており、国王の前で力を披露できたのは、キリガンの力だと分かります。

一方、カズはアーケンを引き連れ、西ラヴカのノヴォクリバースクへ向かいます。アーケンの知り合いのニーナ・ゼニク(ハートレンダー)は、宿屋で待機していますが、ドゥルスケラに襲われ誘拐されます。ドゥルスケラは、捕まえたグリーシャを裁判にかけて法の裁きを受けさせようとします。

ハートレンダーを失ったカズたちは、影溜まりを渡るのに必要なアイテムを集めます。その頃、西ラヴカでは独立を求める動きが広がっていきます。カズは、ズラタン将軍とアーケンが話している姿を目撃します。

カズたちは蒸気機関車に乗り込み、影溜まりを突き進みますが、ヴォルクラの襲撃に遭います。危機的状況に陥った時に人を落ち着かせるために持ってきたヤギのおかげで、ヴェスパーの早撃ちガンマンは炸裂し、影溜まりを渡ることができました。ヤギの効果は絶大です。

 

エピソード4

マルはアリーナのいる小王宮へ行くために、モロツォーヴァの牡鹿を見つける任務に就きます。一人で探しに行こうとしますが、友人も一緒に着いていきます。牡鹿を追いかけ、フョーダの領土に入り込み、ドゥルスケラの襲撃に遭い、友人は殺されてしまいます。

アリーナは、グリーシャの歴史を話します。数百年前、アナスタス国王は、グリーシャである黒の異端者を軍事顧問に雇いました。しかし、黒の異端者は権力を求め、それを恐れた国王は黒の異端者を討伐するため、懸賞金をかけました。

異端者は、モロツォーヴァが使った禁断の科学で軍隊を作ろうとしますが失敗し、影溜まりを生んでしまいます。キリガンは先祖の罪を償うために、影溜まりを破壊しようとします。後に、キリガンが影溜まりを作った張本人であることが判明します。

アリーナは、バグラのスパルタ教育を受け、力の訓練をしますが、上手くいきません。そこで、孤児院で暮らしていた頃を思い出します。アリーナは、手に痛みを与え、グリーシャのテストを回避していたことが分かります。全てはマルと離れ離れにならないためです。

マルと一緒にいるためにグリーシャであることを拒んでいるため、力を発揮することができません。そこで、ジェンヤに思い出である手のひらの傷を消してもらい、グリーシャとして生きていく覚悟を決めます。マルとの別れを告げる悲しい場面でした。

キリガンは、重要な任務についているニーナ・ゼニクと連絡が途絶えたため、フェデヨールに捜索依頼を出します。

東ラヴカに到着したカズたちは、小王宮の設計構造を知るため、公文書館にある設計図を盗み出します。ジェスパーは、銃弾の首飾りを付けたヤギを預けます。これが後に活躍します。設計図を盗み出す場面は、『オーシャンズ11』(01年)のようで面白かったです。

設計図を盗み出し、王宮に潜入する方法を探しますが、見つかりませんでした。そこで、小王宮の祝祭に招かれた旅芸人に扮して潜入することにします。足の不自由なカズは、芸人に向いていないため、独自のルートで潜入します。

 

エピソード5

カズたちは、芸人や警備に扮して、王宮へ潜入します。

アリーナは、キリガンと親密な関係になり、キスをします。マルからの手紙を諦め、忘れることにします。そして、晩餐会で太陽の召喚者であることを証明し、キリガンについていくことを決めます。アリーナとマルは物理的な距離だけでなく、心も離れ離れになってしまいます。

負傷したマルは何とか生還し、牡鹿を発見したことを伝えるため、キリガンと接触します。マルは、アリーナと会うことを条件に、牡鹿の居場所を教えると約束します。キリガンが、マルからアリーナの好きな花を聞き出し、アリーナに青色のアヤメを渡す場面は、キリガンの悪い男が全面的に出ていました。

アーケンは更衣室にいるアリーナを殺害しようとしますが、殺害したのはアリーナに扮したマリーでした。マリーはジェンヤの魔法で顔を変えていました。アーケンは急いで逃げますが、王宮の警備に捕まります。アーケンはズラタン将軍と取引をして、高額な報酬と引き換えにアリーナを殺害することを約束していました。

カズはインフェルニと戦い殺されそうになりますが、イネジュが刃物で仕留めて助けられます。イネジュは自分のためには殺しをしませんでしたが、誰かのために初めて人を殺します。

牡鹿を見つけたマルは、バグラの部下に襲われます。キリガンは牡鹿を殺して力を得ようとしていました。そのことを知ったキリガンの母親であるバグラは、アリーナを小王宮から逃がそうと、真実を話します。

キリガンは影溜まりを作り出した張本人で、正体は闇の異端者です。何百年の間、幾度も名前を変えて王に仕えてきました。

アリーナは逃げるよう言われますが、戦う道を選びます。王宮の外に出たアリーナは、ジェスパーが用意した馬車の荷台に入ります。今までバラバラに描かれていた物語が一つに繋がります。

 

エピソード6

捕まったアーケンは尋問され、キリガンの闇に包まれます。死亡したかどうかは不明です。

フョーダ人に拉致され、船に乗せられたニーナは、海の嵐に巻き込まれます。ニーナはフョーダ人のマティアスと共に、近くの陸まで泳ぎます。着いた先は、マティアスの故郷でした。魔法を使って体を温めるなど、魔法で描く恋愛模様が上手いです。

アリーナは馬車の荷台から外へ出て、東ラヴカのライヴォスト近くの森へ逃げ込み、マルと再会します。二人は、キリガンよりも先に牡鹿を見つけるため、北へ進みます。アリーナが王宮でキリガンと馬鹿なことをしてしまったと後悔しますが、マルは無事ならそれでいいと慰めます。マルの男気に天晴れです。

カズ、ジェスパー、イネジュは、アリーナを探しにきたキリガン、ポリーナ、イヴァンと戦います。

 

エピソード7

キリガンの過去が明らかになります。キリガンはヒーラーのリュダと暮らしていましたが、国の兵士に囲まれ、リュダは殺されてしまいます。

国王はグリーシャを狩り、黒幕であるキリガンを狙います。兵士に囲まれたキリガンは、モロツォーヴァの禁断の魔術であるメルゾストを唱えます。周りにいた兵士は深い闇にのまれ、影溜まりが発生します。ここで巻き込まれた人たちがヴォルクラになったのでしょう。

アリーナとマルは牡鹿を見つけますが、牡鹿はキリガンに殺されてしまいます。アリーナとマルはキリガンに連れて行かれます。キリガンは、アリーナに牡鹿の鹿を首元に埋め込み、光の力を操れるようになります。

キリガンの手下であるジェンヤの仕業により、国王は病気を患い、摂政は宗教的助言者のアパラットとなります。

カズたちはゼメニの護衛に変装して、影溜まりを渡る船に乗ります。

捕まったマルは、ジェスパーの預けたヤギの首飾りに付いている銃弾を使って手錠を破壊します。エピソード4の伏線は見事に回収されます。エピソード8で明かされますが、ヤギの名前はマイロ(Milo)です。

 

エピソード8

影溜まりを渡る船は西を目指して進みますが、キリガンは影溜まりを壊さず、西ラヴカを闇に包み込み、影溜まりを広げようとします。キリガンは、太陽の召喚者を利用して、影溜まりとヴォルクラを操り、力で国を治めようとします。

カズたちはマルと共にキリガンの部下と戦い、西ラヴカに家族がいるゾーヤは、イネジュを助けます。アリーナはキリガンの手のひらに埋め込まれたものを取り除き、キリガンの力を頼らずに、自らの力で光を放ちます。一同は、キリガンを撃退し影溜まりから帰還します。

アリーナはカズに口止め料として女王の首飾りを渡します。ゾーヤは西ラヴカのノヴォクリバースクへ向かいます。カズたちは船でケテルダムへ帰ります。

ニーナとマティアスは酒場で食事をとっていると、マティアスが突然意識を失い、フェデヨールが現れます。ニーナはマティアスを助けるため、マティアスのことを奴隷商人と言い、近くにいた奴隷商人狩りをしている男に引き渡します。

マティアスは奴隷商人狩りの男に連れて行かれ、ニーナのことを裏切り者だと言います。ニーナはマティアスを助けるために嘘をついたと言いますが、マティアスは聞いてくれません。どうすることもできないニーナですが、その船内にはハート・レンダーを探すカズの姿がありました。

ニーナはカズと取引をして、マティアスを助ける代わりに力を貸すような展開になりそうです。

アリーナとマルは船に乗り、影溜まりを破壊するために強くなって戻ってくることを誓います。

最後に、影溜まりから出てくる瀕死のキリガンとヴォルクラのような大きい怪物が外へ出てきて、物語は幕を閉じます。

キリガンの暴走により、他国とグリーシャの溝は深まる一方です。

 

まとめ

魔法を使った恋愛の描き方がとても良かったです!次シーズンも期待です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

参考文献

The Grishaverse | Fandom

https://thegrishaverse.fandom.com/wiki/Grishaverse_Wiki

 

About Netflix – リー・バーデュゴのベストセラー小説「太陽の召喚者 魔法師グリーシャの騎士団1」と「Six of Crows (原題)」がNetflixでシリーズ化

https://about.netflix.com/ja/news/leigh-bardugos-best-selling-shadow-and-bone-and-six-of-crows-books-comes-to-netflix-in-new-series

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