【ネタバレ感想】『大コメ騒動』70万人以上の人たちが参加し社会運動のきっかけを作った

1918年に起こった米騒動を描いた映画『大コメ騒動』について感想を書きたいと思います。

後半は物語の結末にも触れているのでネタバレ注意です。

 

大コメ騒動

作品概要

『大コメ騒動』は2021年に公開された日本映画です。

監督は『超高速!参勤交代』(14年)や『空飛ぶタイヤ』(18年)の本木克英。コメディから社会派まで幅広い作品を撮っています。

主演は『八日目の蝉』(11年)や『白ゆき姫殺人事件』(14年)の井上真央。日焼けをしている設定なので初めて見たときは井上真央かどうか分からなかったです。本作の主演を演じるにあたって米を食べることを禁止して撮影に挑んだそうです。ただ、日本酒は発酵しているのでOKにしたそうです笑。

主題歌は米米CLUBの「愛を米て」です。米要素が多いです。

 

あらすじ

舞台は1918年。富山県の漁村では夫が海に出て、妻が家事や育児をこなしています。

3人の子供をもつ松浦いと(井上真央)は、漁師の夫(三浦貴大)が海に出ているためひとりで一家を支えています。

妻たちは米俵を港の船まで運ぶ重労働を強いられ、報酬は僅か20銭です。米1升の価格は33銭、1日働いても手が届きません。当時の米の消費量は肉体労働が激務だったため、1日1升(1升は1.8リットル)。

ある日、高騰する米の価格に妻たちは我慢の限界がきて、米の価格を下げるよう運動を起こすことになります。これが後に米騒動へと発展していきます。

 

米騒動とは

1918年、富山県の漁村で高騰する米の価格に対して妻たちが安売りを求める運動を始め、全国に広がり騒動にまで発展しました。これが米騒動です。

なぜ米の価格が上がったのか。第一次世界大戦で日本は好景気となり物価が上昇すると共に米の価格も上昇しました。

日本もシベリアへの出兵が決まり、大量の米が必要となり商人や政府の買い占めが横行しました。これにより米不足が深刻化して、さらに価格が上がりました。

 

見どころ

本作の見どころを二つ紹介します。

 

富山弁がすごい

本作は舞台が富山県で監督も富山県出身、出演者も富山県出身の人(立川志の輔、左時枝、柴田理恵、西村まさ彦、室井滋)が多く、富山オールスターズです。

とにかく富山弁に圧倒され、所々ですが意味が分からない言葉がありました(何となく意味は伝わるのでご安心)。映画を作っている最中は富山弁に対して字幕をつけていたそうですが、途中で止めたそうです(2021年1月7日に放送されたTBSラジオ「伊集院光とらじおと」で井上真央がゲストに来た回で言っていました)。

富山弁で「じんだはん」(警察官)は字幕が付いていたかな。後は付いていなかったと思います。

 

時代背景を知らなくても大丈夫

何で米の価格が上がったか、など時代背景を知っていないと楽しめないと思う人もいるかもしれませんが、立川志の輔が説明してくれる場面があるので安心して楽しめます。急に観客に向かって話しかけてくる感じなので、ちょっと違和感をもつかもしれませんが笑。

 

ネタバレあり

ネタバレ注意
ここから先は物語の結末にも触れているのでネタバレ注意です。

ネガティブな感想が含まれているので、本作が好きな人は見ないでください。

女性が主人公で女性によって世の中が変わる爽快感を期待して見ていたのですが、何とも言えなかったです…。フラストレーションが溜まりに溜まって、最後まで発散されませんでした。見方を間違えました。全体的にフワフワした感じで終わった気がします。

米騒動は70万人以上の人たちが参加するほど大きな運動となり、社会運動のきっかけにもなりました。中盤くらいで全国の人が富山県で暴動が起こっている様子を新聞で知る場面はありましたが、全国で騒動に発展している様子をもっと見たかったです。誰かが動けば誰かも動いてくれる熱い展開を期待しました。せっかくの映画なのでダイナミックに見たかったです。

主人公のいとが米を売っているおばさんに「騒動から手を引いてくれたら特別にそのままの価格で売ってあげよう」と言われ、その話にのってしまいダークサイドに落ちるところは良かったです。主人公は朝ドラのヒロインではなく、汚い心も持っている極普通の人である主人公に好感をもてました。その後、他の人たちも同じようなことをやっていることを知り、口が悪くなって言いたいことを言う吹っ切れる場面はとても良かったです。

雰囲気はコメディタッチなのですが、一回も笑わなかった気がします。というか、笑わせようとするギャグがなかった気がします。ほのぼのした雰囲気で笑わせて欲しいなと思って見ていましたが、物語が淡々と進むだけでした。

全体的に映画のエンターテインメント要素が欠如していたと思います。面白い要素はたくさんあるのに。

せめて、映画を観た後にお米が食べたくなったと言いたかったです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です