【ネタバレ感想】『雪の峰』金と権力を駆使して息子を探す父親の物語

こんにちは、つけものなすです。

今回は、遭難した息子を探す父親を描いた映画『雪の峰』(21年)について書きたいと思います。

父親は息子を探すためだったら手段を問いません。

 

雪の峰

雪山の遭難事故

『雪の峰』(原題:Tata muta muntii)は、2021年9月17日から配信開始されたNetflixオリジナル映画です。上映時間は1時間49分。

監督は、ダニエル・サンドゥ。出演は、アドリアン・ティティエニ、エレナ・プレア、ジュディス・スターテ、ヴァレリウ・アンドリウツァ、ビルジル・アイオアネイなど。

主人公のミルチャは、妊娠している妻のアリーナと共に暮らしています。幸せに暮らしているとは言い難く、ミルチャは休日でも仕事のことを考えるなど、家庭に関しては上の空です。その事に対してアリーナは、不安に思います。

ミルチャとアリーナは、ショッピングモールで買い物をしていると、ミルチャの携帯に電話がかかってきます。仕事の電話かと思いましたが、自宅に警察官が来ているとの内容でした。

急いで自宅に戻ると、警察官はミルチャの前妻のパウラとの間にできた子供のコスミンについて尋ねてきます。コスミンはパウラと暮らしています。警察官はコスミンについて、恋人との旅行中に雪山で遭難事故に遭った可能性があると話します。

 

元情報局員の父親

ミルチャは、コスミンが遭難した雪山へ向かい、現場を指揮する救助隊の話を聞きます。コスミンは恋人と雪山へ出発し、その時の気候は晴天でしたが、正午を過ぎた頃に天候が悪化し、方向を見失い遭難しました。二人が登山していた道は、閉鎖中のルートでした。

救助隊が懸命の捜索をしますが、居場所は分かりません。ミルチャは居ても立っても居られず、救助隊と共に捜索しようとします。しかし、危険なため拒否され、それでも強引に捜索に参加しようとするので、救助隊はやむを得なく警察に通報し引き取ってもらいます。

ミルチャは救助隊に「必要な車両や人材、機材などを言ってください。ツテがあります」と話します。なぜこのようなことが言えるのかというと、ミルチャは元情報局員でした。お金と権力をもっています。

 

ネタバレ感想

ネタバレ注意
ここから先は物語の結末にも触れているのでネタバレ注意です。

救助隊が捜索を続けますが、未だ見つかりません。ミルチャはパウラと合流し、コスミンが宿泊しているホテルで休みます。パウラはミルチャに浮気されたため離婚し、「離婚してから私の喜びは息子だけ」と話します。

翌日、ミルチャは救助隊に無理を言い、捜索に参加する事になります。しかし、雪山の捜索は険しく、途中で疲れ果て、捜索を断念します。

ミルチャはコスミンの恋人の両親と合流し、恋人の母親は「親友のミハエラと話したの。彼女の母親は霊能者で知るはずのない情報を知っていて、二人は生きていると言っていた」と話します。神頼みとなっています。

遭難から4日目。雪崩の恐れがあるため、捜索する隊員数も減り、ミルチャは救助隊の捜索のやり方に不満を抱きます。ミルチャは部下の情報局員を現場に連れてきて、独自の捜索本部を立ち上げます。

情報局員は救助隊から必要な情報を集め、独自の捜索を開始します。ヘリコプターで雪山へ向かい、電波装置を設置して、居場所を突き止めようとします。しかし、電波装置に反応はありませんでした。

情報局が捜索しているという情報がマスコミ流出し、ミルチャは他の遭難者から捜索を頼まれます。息子の捜索が最優先なのと、捜索の方法が法を犯しているので、断ります。金と権力で機材を独占している傲慢な父親に見えます。

捜索を続けると、コスミンと恋人の携帯の反応を検知します。検知した場所の範囲は27平方メートルで、深さは10メートルほどです。雪崩に巻き込まれ、大量の雪に埋もれています。生き残っている可能性は、極めて低くなります。

それでもミルチャは諦めず、必死に捜索を続けます。パウラがコスミンの恋人の母親に「事故に巻き込まれたのは、あなたの娘のせいよ」と禁断の一言を言ってしまいます。人間関係がギクシャクしていきます。

深さ10メートルの雪を掘り起こすのは困難で、雪解けを待つしかありません。それでも捜索を諦めずに続けますが、隊員が雪崩に巻き込まれるなど困難を極めます。情報局員たちは手に負えず、捜索から退きます。

ミルチャは人員を集めるため、大金を払い一般人を募集します。自身の家を売り払ってでも、捜索を続けようとするので、アリーナとの関係が悪化してしまいます。パウラからは、教会へ行こうと提案されますが、聞く耳も持ちません。コスミンの恋人の両親も捜索を諦めます。

捜索開始当初は、現場までのロープウェイに並ばずに乗車できていましたが、特別扱いされなくなります。ロープウェイに並んでいると、救助隊員とすれ違い、捜索当初に不満を抱いていた隊員が捜索に参加してくれます。ここは感動します。

雪をスコップで掘り起こしていると、救助依頼が来ます。ミルチャは他の隊員に、息子の捜索よりも救助依頼を手伝うよう言います。前に別の遭難者の母親から電波装置を使いたいと言われた時は拒否しましたが、今回は率先して救助に協力します。その甲斐もあってか、遭難した男性を無事に救助します。

男性は救助されましたが、ミルチャの息子は未だに発見されていません。救いの手が差し伸べられる時は来るのでしょうか。雪を掘り起こすミルチャの姿で物語の幕が閉じます。

 

感想

父親の捜索の仕方が金と権力を駆使する傲慢な態度だと思って見ていましたが、最後の方は普通の父親に見えて、寂しそうな背中でグッときました。

救助する側の視点でのみ描かれていて、ドキドキしながら見ていました。面白かったです。

 

まとめ

序盤と終盤では父親の印象がガラリと変わりました。

面白い映画だと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

参考文献

雪の峰 (2021) – IMDb

https://www.imdb.com/title/tt8886670/?ref_=tt_rvi_tt_i_2

 

雪の峰 – 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

https://filmarks.com/movies/98874