【ネタバレ感想】『ブリトニー対スピアーズ -後見人裁判の行方-』父親から搾取される娘の戦い

こんにちは、つけものなすです。

今回は、歌手のブリトニー・スピアーズのドキュメンタリー映画『ブリトニー対スピアーズ -後見人裁判の行方-』(21年)について書きたいと思います。

父親から搾取される衝撃のドキュメンタリーです。

 

ブリトニー対スピアーズ -後見人裁判の行方-

ブリトニー・スピアーズ

『ブリトニー対スピアーズ -後見人裁判の行方-』(原題:Britney vs Spears)は、2021年9月28日から配信開始されたNetflixオリジナル・ドキュメンタリーです。上映時間は1時間33分。

本作は2019年頃から製作され、ドキュメンタリー監督のエリン・リー・カーと記者のジェニー・エリスキューが、ブリトニーを追うドキュメンタリーとなっています。ジェニー・エリスキューは、ローリング・ストーン誌でブリトニーの取材をして以来、10年以上の付き合いです。

ブリトニーは、1981年12月2日にアメリカ・ミシシッピ州のマコームで生まれました。

8歳の時にディズニー・チャンネルの『ミッキーマウス・クラブ』のオーディションに応募しますが、年齢が低いという理由で落選しました。11歳になり、再び『ミッキーマウス・クラブ』のオーディションに応募して、見事合格します。その後、14歳でレコード会社と契約をし、スター街道まっしぐらです。

 

16歳の時に「ベイビー・ワン・モア・タイム」でデビューしました。それ以来、ヒット曲を連発し、1998年から2003年にかけて7300万ドルを売り上げました。

 

ケヴィン・フェダーライン

2004年にバックダンサーのケヴィン・フェダーラインと結婚して、2人の子供を授かります。しかし、2年後の2006年に離婚を申請します。過去の映像で、コメディアンのロージー・オドネルがブリトニーの離婚を祝う場面は面白かったです。ブリトニーの結婚は国民にとって、「娘が不良と結婚してしまった」感じなのでしょう。

 

アドナン・ガリブ

2007年、ブリトニーをパパラッチするカメラマンのアドナン・ガリブは、パパラッチするうちにブリトニーと仲良くなっていき、ついに二人の仲は恋人関係に発展します。

 

サム・ラトフィ

ブリトニーは元夫のケヴィンと、子供の親権について法廷で争います。元マネージャーのサム・ラトフィは「両親に相談してみたら?」と助言しますが、両親は2002年に離婚し、関係性は悪いので拒みます。特に父親のジェイミーとは仲が悪いです。

サムは、ブリトニーの食事にドラッグを盛ろうとするなど危険人物とされています。2008年にブリトニーの母親のリンは、ドラッグを与えられたと訴えました。そのことについてサムは、リンのことを名誉毀損で訴えようとしています。

 

攻殻機動隊

2007年に発売された5作目のオリジナルアルバム「ブラックアウト」は、全世界で300万枚を売り上げ、ブリトニー史上最高傑作とも言われています。「ブラックアウト」に収録されている「ブレイク・ジ・アイス」のプロモーション・ビデオはアニメーションとなっており、押井守監督の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(95年)に似ています。

 

成年後見制度

2008年、ブリトニーは自宅で2人の息子と過ごしていましたが、ケヴィンに子供を引き渡すのを拒んだため、警察が出動する騒ぎになります。ブリトニーは病院に搬送され、精神状態を検査することになります。この騒ぎで、ブリトニーは子供との面会権を失いました。

子供たちの親権はケヴィンに与えられ、ブリトニーは精神科病院に強制入院させられます。父親のジェイミーは、成年後見制度を申請し、2008年2月1日に法廷はブリトニーに対する一時的な成年後見制度を認め、ジェイミーが後見人となります。

成年後見制度は、認知症や精神障害などで判断能力が不十分な人が、資産の管理や身の回りの世話を第三者である後見人に委ねることが出来る制度のことです。この制度を適用したことにより、ブリトニーは自由を奪われ、父親に搾取されることになります。

 

ネタバレ感想

ネタバレ注意
ここから先は物語の結末にも触れているのでネタバレ注意です。

自由を失う

成年後見制度専門弁護士のトニー・チコテルは、「成年後見制度を適用するのは滅多にない最終手段。プライバシーに関する決断や健康に関することは何一つ決定権がなくなる。誰と会うのも決められず、電話やインターネとで交流する権利も失ってしまい、お金を自由に使うことができない」と話します。

ジェイミーは自身の事業に失敗して倒産した過去があり、ブリトニーの資産管理を行うのに相応しくないため、共同後見人としてアンドリュー・ワレットを立てます。ブリトニーが稼いだお金で弁護士や必要な人材を雇うことができます。ジェイミーは、元マネジャーで2007年にブリトニーに解雇されたラリー・ルドルフを雇います。

スピアーズ家の広報であるルイーズ・テイラーは、ブリトニーの代わりに仕事を仕切り、マネージャーになります。ブリトニーの周りには、ジェイミーを筆頭に悪巧みする連中が集まっていきます。

 

なぜ、後見人が必要と判断されたのか?

なぜ、ブリトニーに後見人が必要と判断されたのでしょうか。法廷に提出された書類には、後見人を必要とする理由に「認知症の疑いがある」と記載がありました。認知症は高齢者がなる病気のイメージですが、65歳未満の若い世代でも発症する人は存在します。しかし、ブリトニーはダンスの振り付けを考えたりしているので、とても認知症には見えません。

しかも、被後見人(後見人が必要と判断される者)にされる時は5日前に通知を受け、異議を申し出ることができます。しかし、ブリトリーには通知が来ませんでした。元自称マネージャーのサム・ラトフィが通知を知らせないようにしたという疑いがあります。

弁護士のアダムは「後見人を家族にすると、やりすぎる恐れがあるため不適切」と指摘します。アダムは法廷で、「後見人は父親ではなく、第三者を望んでいる」と証言しますが、判事は「ブリトニーは信頼できる代理人を雇う能力がないと報告を受けているため、あなたを代理人にすることはできない」と判決を下します。

 

謎の情報提供者

2020年秋、本作の制作陣に謎の情報提供者から秘密情報のリークがありました。その情報の中には、2008年に法廷に提出された診療報告書があり、「ブリトニーには弁護団を維持管理する能力と財政管理する能力が欠けている」と記載があります。

この文章が提出された頃、ブリトニーは仕事に復帰して、ドラマ『ママと恋に落ちるまで』に出演しています。ブリトニーは、シーズン3の第13話と第19話に出演しています。

 

医師の判断

ブリトニーに能力が欠けていると判断した医者の一人であるJ・E・エスパーに話を聞きますが、「ブリトニーの診断に呼ばれた証拠はない」と話し、法廷書類を見せますが、「私の署名が入っていない」と話を聞いてくれません。

 

アンドリュー・ギャラリー

2008年9月、ブリトニーは親権の半分を勝ち取りますが、子供たちとの面会時間は父親が決めていました。仕事の人材は後見人が人選を行い、仕事からプライベートまで全て管理されています。

ケヴィンのインタビューがピープル誌に掲載され、ブリトニーは了承していない内容もあったため、反論します。その時の心情を手紙に書き綴り、写真家のアンドリュー・ギャラリーに渡し、「テレビで読んで欲しい」とお願いします。アンドリューはブリトニーの兄の結婚式に参加するほどの仲良い間柄です。

手紙には「過去のブリトニーは忘れてください。離婚は弁護士の証言です。ケヴィンが私と子供たちに会おうとしなかった。彼は妻子を捨てたのです。彼と喧嘩をしていたのは、彼が毎日マリファナを吸っていたからです。私はハメられました。子供を奪われた母親なら誰でも取り乱すでしょう。私が沈黙を守っている間、支配者たちは300万ドルを儲けています。状況を見直してくれと訴えれば、後見人に子供を奪われます。」と切実な思いが綴られています。

数日後、アンドリューのもとに弁護士から連絡があり、手紙が表に出たらまずいと言われ、手紙を弁護士に渡しました。ブリトニーから手紙を渡されたときに写真を撮っていたので、データとして残っていました。

さすが写真家ですが、その後にアンドリューはクビになりました。ブリトニーと親しい人物は近くに寄せないという後見人の考えなのでしょう。恐ろしいです。

 

署名を入手せよ

2009年1月21日、ブリトニーは弁護士に「後見制度の解除はうまくいきそう?父親に子供たちを取り上げると脅されている」と伝言を残します。

ジェニーはLAへ行きます。サムとアドナンは新しい代理人を見つけようとしていました。依頼した弁護士は、書類にブリトニーの署名が必要だと説明します。サムとアドナンはブリトニーに近づくのを禁止されていたため、ジェニーがブリトニーのいるホテルへ行き、護衛の隙をついて書類に署名してもらいます。

署名してもらう展開はスパイ映画を見ているようでドキドキしました。ジェニーは当時のことを涙ながらに話す場面は、見ている自分も泣きそうになりました。

代理人の変更願いを提出しますが、全て却下されました。ブリトニーには代理人を選ぶ能力がない、署名は本物かどうか怪しいと判断されました。

ブリトニーが書類に署名した一週間後、代理人のインガムは「ブリトニーが雑誌記者に会って書類に署名したと本人から聞いた。署名は本意ではなかった」と証言します。インガムは後見人のジェイミーから報酬(300万ドル以上)を貰っているため、ジェイミーの立場が悪くなることはできません。

 

後見制度の永続化

ジェイミーは、ブリトニーの後見制度の永続化を申請し、新たな特権を追加しようとします。資産管理だけでなく、仕事の量を増やそうとします。ブリトニーは心身共に疲弊していますが、ツアーのため世界中を飛び回ります。

その結果、チケットの売り上げは4000万ドル以上の収益を上げました。一般的に後見人制度が適用される人は、ほとんどが無職の人です。これだけ稼いでいるのに制度が適用されるのは納得がいきません。怒りが込み上げてきます。

 

ジェイソン・トラウィック

2011年秋に「クリミナル」で共演したジェイソン・トラウィックと恋に落ちます。ジェイソンについて、写真家のアンドリューは「何でも打ち明けたくなる男だ」と信頼している様子で話します。

2012年3月18日、ブリトニーの医療チームの医師がインガム宛に手紙を送りました。手紙には「現在の後見制度は厳しく、不便な生活を強いられている。敷地内をゴルフカートで移動するにも許可が必要で、外食の許可を取るのに20分以上も待たされる」と訴えています。

2011年12月15日、恋人のジェイソン・トラウィックと婚約します。4ヶ月後、ジェイソンを後見人にするため申請しますが、法廷はジェイミーを外す代わりにジェイソンを共同後見人とするとしました。しかし、1年以内に離婚し、後見人はジェイミー1人に戻ります。

 

搾取

2013年に始まったベガス公演の「ピース・オブ・ミー」は5年続き、世界ツアーへと成長します。ブリトニーは後見制度に保護されているので、インタビューを受けることはほとんどありませんでした。

2013年〜2017年のベガス公演(全248公演)の興行収入は1億3770万ドル。2018年の「ピース・オブ・ミー」ワールドツアーは9カ国回り、興行収入は5430万ドル。2018年、ブリトニーの資産は5900万ドル。ジェイミーには興行収入から210万と毎月1万6000ドルの給与が支払われ、プリトニーに渡されるのはわずか8000ドル。

 

突然のツアー中止

2019年1月、ベガスで「ドミネーション」の発表を行い、レッドカーペットでの発言を注目されていましたが、特に発言はありません。

 

その3ヶ月後、家族の健康上の理由で、ツアーを中止することを発表します。

 

心の叫び

2019年4月、精神科病院に入院していることが分かります。その後、インスタの投稿を再開し、回復している様子を明かします。

2019年夏、ジェイミーがブリトニーの息子を暴行したため、元夫のケヴィンがジェイミーに対し、子供達に近づかないように接近禁止令を取りました。

2019年末、ルイーズ・テイラーはジェイミーに40万ドル以上が未払いだと支払いを要求します。この時、ブリトニーは休養期間でしたが、ジェイミーは支払いを完了しました。休養期間中なので仕事はないはずです。

2021年6月23日、ブリトニーは審問で「ツアーを辞めたければ弁護士を雇えと言われた。勝手に辞めれば契約に則り訴えると脅された。後見人制度のせいで弁護士が雇えず、仕方なく従った。ツアーをキャンセルすると、父親は今まで服用していた薬より強い炭酸リチウムを渡してきた。家族は何もしてくれず、父は大賛成だった。大丈夫だし、幸せと言っていたのはウソ。裁判長、父をはじめ制度に関わった人間を有罪に。今度こそ、彼らが私に与えた傷の深さを理解してください」と心の叫びを証言します。

2021年6月30日、父親を後見人から外すという訴えは却下されます。マネジャーのラリーは7月に辞任し、代理人のインガムは7月6日に辞任しました。7月14日、後任にマシュー・ローゼンガートが就任し、後見人からジェイミーを外すよう申請します。ジェイミーの弁護士費用の135万6000ドルはブリトニーが負担しました。

9月7日、ジェイミーは後見人の解任を要求し、成年後見制度を終了するよう勧告し、判断が裁判所に委ねられます。あとは信じて待つしかありません。

 

まとめ

裁判所の判断が適切でありますように。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

 

参考文献

Britney vs Spears (2021) – IMDb

https://www.imdb.com/title/tt15469820/?ref_=ttrel_rel_tt

 

Q1~Q2 「成年後見制度について」 | 成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A | 成年後見制度・成年後見登記制度

https://www.moj.go.jp/MINJI/a01.html

 

B・スピアーズ、自称マネジャーに薬物を投与されていた=母親 | ロイター

https://jp.reuters.com/article/idJPJAPAN-30184420080206

 

人気ドラマで印象的だったミュージシャンのカメオ出演5選/『New Girl』のプリンスほか | 海外ドラマboard

https://kaigai-drama-board.com/posts/23512?p=3

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