【考察】”それ”よりも誰が扉を開けたのか気になるホラー映画「イット・カムズ・アット・ナイト」

「イット・カムズ・アット・ナイト」は、見た情報だけでは結論を出すことはできず、様々な解釈ができるちょっとホラーな映画です。上映時間91分と見やすいです。

 

ネタバレなし

作品情報

  • 監督 トレイ・エドワード・シュルツ
  • 脚本 トレイ・エドワード・シュルツ
  • 製作 デヴィッド・カプラン、アンドレア・ロア
  • 製作総指揮 ジョエル・エドガートン
  • 出演者 ジョエル・エドガートン、クリストファー・アボット、カルメン・イジョゴ、ケルヴィン・ハリソン・Jr
  • 音楽 ブライアン・マコンバー
  • 撮影 ドリュー・ダニエルズ
  • 編集 トレイ・エドワード・シュルツ、マシュー・ハンナム
  • 製作会社 アニマル・キングダム
  • 上映時間 91分

 

あらすじ

伝染病で文明が崩壊し、森の奥の家で暮らすひとつの家族。誤って家に侵入してきた男と出会い、その家族を迎え入れる。生き延びるため、家族同士協力して絆が深まっていくが、あることをきっかけに亀裂が入る。

 

登場人物

ポール(ジョエル・エドガートン)
森の奥に住む一家の長

サラ(カルメン・イジョゴ)
ポールの妻

トラヴィス(ケルビン・ハリソン・ジュニア)
ポールとサラの息子

ウィル(クリストファー・アボット)
ポールの家に居候する一家の長

キム(ライリー・キーオ)
ウィルの妻

アンドリュー(グリフィン・ロバート・フォークナー)
ウィルとキムの息子

 

考察(ネタバレあり)

ここからはネタバレありで色々と考察してみたいと思います。あくまで考察なので、こういう考え方もあるよなくらいの気持ちで受け止めてください。

 

死の勝利

祖父の部屋に絵画が飾ってあります。その絵画はブリューゲルが描いた「死の勝利」です。遠景では、火山が噴火し塔が燃え上がり複数の船が沈没しています。左右の丘では、斬首刑、絞首刑など処刑されている人々がいます。中央では、民間人が武器を取り軍勢と戦って命を落としています。「死の勝利」は、人間は死に支配され、死からは逃れられないことをあらわしています。

トラヴィスの祖父が伝染病にかかったため父親のポールが殺しました。トラヴィス自身も感染し、ポールとサラも感染していると疑えるラストシーンで映画は終わります。生きるために試行錯誤しますが、死から逃れることはできませんでした。部屋に飾ってあった「死の勝利」がそのことを暗示しています。

 

襲撃した人物

ポールはウィルと共にウィルの家族を迎えにいくため、車を走らせていると何者かに銃で襲撃されます。襲撃した二人組をポールとウィルで撃退し殺します。

この二人はたまたま襲撃したのかもしれませんが、ウィルの仲間だったとも考えられます。ウィルが狙われているシーンがないのを考えると、襲撃犯はウィルの仲間でポールだけを殺そうとしていたように見えます。

ポールが銃で撃った後、ウィルが襲撃犯の一人を殴ります。あそこで殴る必要があったのでしょうか。ウィルは襲撃犯の仲間だとポールに知られるのを防ぐため口封じで殴ったようにも見えます。

 

ウィル

ウィルは兄と暮らしていたと言っていまたが、ポールと酒を交わす時、父子家庭で一人っ子だったと口を滑らすシーンがあります。ウィルはそのことについてポールに指摘されると、キムの兄(義理の兄)のことだと言い訳をしますが、ポールは疑っています。

ウィルは一体何者なのでしょうか。なぜ嘘をついていたのでしょうか。一番不思議なのは、ウィルとキムがベッドの上でイチャイチャしている近くに息子のアンドリューがいることです。息子がいる前でイチャイチャするのは違和感がありました。アンドリューはそもそも、ウィルとキムの息子なのでしょうか。伝染病が広がり文明が崩壊した後に、たまたま集まった人々なのかもしれません。

ちなみにウィルはポールが酒を開けようとすると「やめた方がいい」と言います。おそらくウィルはアルコール依存症です。本編とはあまり関係ありませんが。

 

誰が扉を開けたのか

赤い扉は誰が開けたのか、ポール家とウィル家が決裂するまでに発展しました。トラヴィスは、アンドリューが開けたと言いますが、ウィルは「アンドリューじゃ鍵に手が届かないだろう」と言います。

確かにアンドリューの身長だと扉を開けるのは難しそうです。そうなると、誰が扉を開けたのでしょうか。一番怪しいのはトラヴィスです。

トラヴィスは、夜中に犬が戻ってきて家に入れた後に感染していることに気付き、慌てて皆んなを起こします。感染した犬を家に入れたと知られるのを恐れたため、アンドリューのせいにしたと考えられます。

 

トラヴィスの悪夢

トラヴィスが悪魔を見ているときは、スクリーンのサイズが狭くなります。圧迫感や閉鎖感を視覚的に表現しています。シュルツ監督の次作「WAVES/ウェイブス」でも同じようなことをやっています。

最後に見る悪魔で、トラヴィスは赤い扉を開けてしまいます。今までは、赤い扉に近づくと目が覚め危険を察知していました。赤い扉は「死」を象徴しているのでしょう。

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