こんにちは、つけものなすです。
今回は、緊急司令室のオペレーターが事件を解決するアメリカ映画『THE GUILTY/ギルティ』(21年)について書きたいと思います。
ジェイク・ギレンホールを堪能できます。
THE GUILTY/ギルティ
オリジナル版
『THE GUILTY/ギルティ』(原題:The Guilty)は、2021年10月1日からNetflixで配信開始されたアメリカ映画です。上映時間は1時間31分。
監督は、『トレーニング デイ』や『イコライザー』のアントワーン・フークア。出演は、ジェイク・ギレンホール、イーサン・ホーク、ライリー・キーオ、クリスティナ・ヴィダルなど。
本作は、2018年に公開されたデンマーク映画『THE GUILTY/ギルティ』のリメイクとなっています。『THE GUILTY/ギルティ』は、第91回アカデミー賞外国語映画賞にデンマーク代表として出品されました。TBSラジオがオーディオドラマ化をしています。
タイトルの「Guilty」は「有罪」という意味です。物語と深く関わっていきます。
いい子ね
ロサンゼルス市警察のベイラーは、緊急指定室のオペレーターで、夜勤の電話対応に追われています。ドラッグを使い錯乱した者や山火事で消防車を呼ぶ者、強盗被害にあった者など対応は様々です。
通報が鳴り電話に出ると、「いい子ね」と女性の声が聞こえます。電話の相手はエミリーです。彼女は「いい子ね、怖がらないで」と子供に話しかけるように言います。通報した理由について訪ねると「話がしたい」と言います。
ベイラーはいたずら電話だと思い、電話を切ろうとしますが、電話の奥の方で男の声が聞こえます。男は「電話を切れ」と言っています。ベイラーはエミリーに男は通報のことを知っているか訪ねると、「いいえ」と答えます。
不審に思ったベイラーは、エミリーが子供に電話をするフリをして通報していると疑います。エミリーにYesかNoで答えられる質問をすると、エミリーは男が運転する白色のバンに拉致されていることが分かります。
ベイラーは交通警察に連絡して、エミリーから合図をもらい、車を突き止めようとします。しかし、エミリーからの連絡が途絶えてしまいます。航空支援を依頼しますが、山火事の影響で上空から探すことはできません。交通警察は白色のバンを発見し取り押さえますが、車内にはエミリーらしき人物はいませんでした。
苦しむ
冒頭からベイラーは苦しんでいます。トイレで咳き込み、苦しそうにしています。電話対応をしている時に寒気を感じたり、緊急電話が来ても何か考え事をしていて同僚に注意されるなど、体調が悪そうです。
エミリーを追跡するときに、近くで起こった山火事の影響で思うように捜査が進められないと、大声で怒鳴ったり、同僚に八つ当たりしたりなど、情緒が不安定です。命に関わる事件を捜査しているので、感情的になるのも分かるのですが、異常なほどに感情的になります。
記者から電話があると、その記者は「あなたの事件で聞きたいことがある」と話し、ベイラーが関わった事件について聞こうとします。ベイラーは現場で事件の捜査をしていましたが、ある事情で緊急司令室のオペレーターとなりました。
妻とは別居しており、子供がいますが会うことができません。事件と関係があるのでしょうか。
ジェイク・ギレンホールの演技力
本作は、全て緊急指定室内で起こったことのみ映し出されており、ほとんどがベイラーを演じるジェイク・ギレンホールとその電話のやりとりとなっています。基本的には会話劇なので、目を閉じて音声を聞くだけでも楽しめると思います。日本語吹き替えで見る方が面白いかもしれません。
ジェイク・ギレンホールの演技力で観客を惹きつけているのがすごいです。喜怒哀楽が激しく、見ていて面白いです。
https://twitter.com/netflix/status/1444052299463094275
ネタバレ感想
ここから先は物語の結末にも触れているのでネタバレ注意です。
拉致
エミリーの緊急連絡先に電話をすると、6歳の女の子であるアビーが出ます。弟のオリバー(赤ちゃん)と一緒に居て、エミリーは元夫のヘンリーに連れ去られ、ナイフを所持していると話します。
アビーからヘンリーの電話番号を教えてもらい、その情報からヘンリーについて詳しく調べます。ヘンリーには傷害罪の前科があり、白色のバンを所持していました。車のナンバーを調べ、交通警察に情報を連携します。
誰もいないオペレーター室に移動して、引き続き電話対応を行います。ヘンリーの自宅を捜索するよう依頼しますが、令状がないため思うように捜査を進めることができません。
相棒のリックに電話を掛けて、ヘンリーの自宅を捜索するよう依頼します。リックは酒を飲み酔っ払って「俺が証言台で口を滑らせたりしたら」と不安そうに話します。
アビーから電話があり、アビーのいる自宅に警官が到着します。警官が自宅を調べると、床には血痕があり、オリバーが血を流して倒れていました。ベイラーはヘンリーに電話を掛けてブチギレます。
エミリーにシートベルトを着用してハンドブレーキを引いて逃げ出せと指示を出します。エミリーは実行しますが、途中で電話が切れてしまいます。通報の電話が鳴り、エミリーかと思い電話に出ますが、膝を怪我した人からの通報でした。何回も通報するその人に向かって「配車サービスでも呼べ」とキレる場面は笑いました。
すると、エミリーから電話が掛かってきます。エミリーはハンドブレーキを引いてみましたが、失敗に終わりました。交通警察にエミリーの位置情報を伝えようとしますが、携帯の基地局が変わり、位置情報が更新されてしまいます。
エミリーは「車の荷台は真っ暗で何も見えない。子供たちのいる家に帰りたい」と泣きながら話します。ベイラーは、車が停止して外へ出るときに、荷台に置いてあるレンガでヘンリーを殴れと指示を出します。
エミリーを落ち着かせるため、好きな食べ物や子供たちのことについてエミリーと話していると、「オリバーのお腹に蛇がいたから泣いていた。だから出してあげた」と話します。
ヘンリーはエミリーを病院に連れて行こうとしていました。エミリーは精神病を抱えていましたが、医療費が払えず薬を飲んでいませんでした。エミリーは、オリバーの腹の中に蛇がいると思い込み、腹をナイフで裂きました。オリバーを殺したのは、エミリーでした。
ヘンリーに電話をすると、ヘンリーはエミリーに殴られた後で、エミリーは逃げ出していました。エミリーに電話を掛けますが、応答がありません。ベイラーが怒りのあまりに机に当たり散らかします。ジェイク・ギレンホールは『プリズナーズ』(13年)でも机に当たり散らかします。
すると、エミリーから電話が掛かってきます。エミリーは手やシャツに血が付着していることに気付き、ヘンリーを殴ったのは自分だと知り、パニック状態に陥ります。現在地を聞くと、下に車が通っていると説明します。エミリーは陸橋の上に立っていました。
ベイラーは急いで交通警察に連絡します。エミリーは罪悪感で陸橋の上から飛び降りようとしています。ベイラーは必死に説得し、「俺は19歳の若い男を殺した」と話します。ベイラーは当時の状況について「銃を所持していたため、若い男を罰したかった。腹が立って撃ってしまった」と説明します。
エイミーを必死に説得しますが、「オリバーのところへ行く」と一言残して電話は切れます。ベイラーは慌てますが、交通警察からエミリーを無事に保護したと連絡が来ます。病院に運ばれたオリバーは、ICUに入り一命を取り留めました。全員無事です。
真理は汝を自由にする
冒頭で引用される「真理は汝を自由にする」は、イエス・キリストが自分を信じたユダヤ人に言われた言葉です(ヨハネによる福音書8章32節)。「真理」は、イエス・キリストのことです。イエス・キリストを信じることで自由になり、あらゆる罪から解放されます。
ベイラーはリックに電話を掛けて「嘘の証言はするな、真実を話せ」と泣きながら話します。ベイラーは若い男を銃で撃って殺してしまい、銃で撃ったのは正当防衛だと見せるため、相棒は嘘の証言をしていました。
罪の重さに耐えきれず、罪を認める覚悟をします。罪を認めることにより、娘に会うことができなくなります。ベイラーは記者に電話して自らの罪を話します。ベイラーは警察が行った発砲事件の有罪を認めます。
ベイラーが苦しそうにしていたのは、おそらくPTSDなのでしょう。異常なほどに感情的になって必死に捜査をしていたのは、自ら犯した罪への贖罪でもあったのかもしれません。
オリジナル版
本作を見た後にオリジナル版を見たのですが、プロットや演出、セリフなどもほぼ同じで驚きました。大きく違うのはベイラーの苛立ちです。本作は冒頭から苦しそうな様子で、電話対応時に激怒するなど、緊急司令室の中ではかなり浮いていました。オリジナル版の方が冷静でした。
ベイラーに感情移入しようとするのですが、あまりにも感情的になるので、突き放された気分になり、最後まで感情移入することができませんでした。最後に若い男を銃で殺し、PTSDを患っていることが分かりますが、それでも納得はできませんでした。
ジェイク・ギレンホールの演技は楽しいのですが…
まとめ
ジェイク・ギレンホールを堪能できる90分間でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
参考文献
The Guilty/ギルティ (2021) – IMDb
https://www.imdb.com/title/tt9421570/
THE GUILTY/ギルティ – 映画情報・レビュー・評価・あらすじ | Filmarks映画
https://filmarks.com/movies/98967