【ネタバレ感想】『ジューン&コピ』大人の事情は挟まない犬と子供の物語

こんにちは、つけものなすです。

今回は、子供と犬の物語を描いた映画『ジューン&コピ』について書きたいと思います。

ジューン&コピ

ジューン

『ジューン&コピ』(21年)は、Netflixオリジナルのインドネシア映画です。原題は「June & Kopi」。監督はノヴィアンドラ・サントーサ。

アヤは子供達にいじめられている野良犬を自宅へ連れて帰ります。しかし、既にコピという名前の犬を飼っているので、夫のアーレに「これ以上飼うことはできない」と拒まれます。

今月は6月ということからジューンと名付け、ペットショップに飼い主を探してもらおうと預けますが、しつけがされていないジューンは店内を走り回り、飼い主に3回も断られ、アヤが引き取ることになります。

妻のアヤを演じるのは、『99 Nama Cinta』(19年)などに出演しているAcha Septriasaです。漫画家であるアヤは、自分の描いた漫画を出版社に見せますが、「君の漫画は堅すぎる」と打ち切りになります。自宅に子供部屋がありますが、アヤとアーレの間に子供はいません。

夫のアーレを演じるのは、『Strawberry Surprise』(14年)などに出演しているRyan Delonです。ジューンを飼うことにしましたが、ジューンは部屋中を走り回り言う事を聞かないので、そのことを良く思っていません。危険なことがあったらすぐに追い出そうとします。

本作に登場する動物は、全て保護された動物たちが演じています。エンドクレジットでは「ペットに責任を持ちましょう」というメッセージが流れます。

 

家族

ジューンを飼ってから数日後、アヤの妊娠が発覚して家族が一人増えることになります。公園で犬の散歩をしていると、アヤの陣痛が激しくなってきたので急いで病院に行きます。

犬は病院に入れないので、ジューンとコピは外にいる警備員に見張ってもらいます。ジューンは警備員の隙を見て、病院に入ってアヤを探しに行きます。犬が走り回っているので病院内は大パニックになります。

無事にアヤの子供(カレン)が産まれてきますが、ジューンは子供嫌いのため赤ん坊ですら怖がっています。

アーレは病院で走り回ったジューンを自宅に入れず外で飼うことにします。アヤはジューンと子供が仲良くできないか考えます。食事の時もジューンは外にいるのでかわいそうになってきます。

夜泣きで目覚めたアヤは急いでカレンのもとに行くと、部屋にはジューンがいてカレンは既に泣き止んでいました。まるでジューンが泣き止ましたように。外にいるジューンは、コピに扉を開けてもらい中へ入りました。

本作は『ペット』(16年)のような犬同士の会話はないものの、ジューンとコピはコミュニケーションをとっているように見えます。カレンが「18割る6は?」と質問するとジューンが三回吠えるところは面白いです。子供と犬の組み合わせは最強です。

アーレはジューンのことを好きになれずにいますが、物語が進むにつれて仲が深まっていきます。クライマックスでは、子供を救うかジューンを救うか、究極の選択に迫られます。

 

ネタバレ感想

ネタバレ注意
ここから先は物語の結末にも触れているのでネタバレ注意です。

 

大脱走

ある夜、カレンの異変に気づいたジューンが、リサとアーレに異変を知らせます。カレンは喘息で苦しんでいました。ジューンは夜泣きを止めたようにカレンの番犬となっていきます。

カレンは隣の家の子供が飼っている犬が亡くなった事を知り、初めて「死」に触れます。これが結末にもつながっていきます。

久しぶりに漫画を出して不安に思っているアヤを勇気づけるため、アーレは別荘を借りてそこで休暇を取ろうと提案します。

別荘に連れて行けないジューンは、自宅でイーカおばさんに面倒を見てもらいますが、隙を見てジューンとコピは逃げ出します。ジューンは車を乗り継いでカレンのもとへ向かいます。道中では怪しい男に捕まり、転売されそうになりますが、少年に助けてもらいます。

なぜかジューンとコピは別行動なので、一緒に冒険するような犬同士の冒険活劇が見たかったです。エンドクレジットでは、コピがどうやって別荘に辿り着いたか描いています。

その頃、カレンは旅行先で迷子になり、森を彷徨っていました。心配するアヤとアーレのもとにコピがやって来て、匂いを頼りにカレンを探します。

アヤは「あの子まで失いたくない」と言います。物語上では触れていませんが、アヤとジューンには子供ができて流産したか産まれてから直ぐに亡くなった過去があると考えられます。

森の天候が悪くなり、カレンは足を怪我しています。すると、そこにジューンが助けに来ます。カレンのピンチにはいつもジューンが側にいます。カレンは喘息で苦しみ倒れてしまいます。

アーレはジューンを見つけ、カレンを抱えて急いで森を出ようとしますが、地面に落ちている尖った猟師の罠に気付かず、足を裂きそうになります。危険を察知したジューンがカレンを抱えているアーレをかばい、ジューンは足を怪我してしまいます。

アーレの目の前には娘のカレンとジューンが倒れています。アーレは先にカレンを助け、その後に森へ戻りジューンを助けにいきます。子供と犬の究極の選択肢に迫られます。

怪我をしたジューンは出血がひどく、医師から長くはもたないと告げられます。最後の最後までジューンはカレンを守り抜きました。ジューンのことを嫌っていたアーレが握手する場面は胸が熱くなります。ジューンは家族に看取られながら天国へと旅立っていきますが、アヤの描く漫画の世界にジューンは生きています。

 

子供向け

子供向けということで、少しオーバーな演出を感じました。特に気になるのが、ジューンが足を怪我するところで、何回も猟師の罠が映し出される場面です。わざとらしく見えてしまうので、そこまで映さなくても良いのではと思いました。

本作は子供と犬の物語なので、大人のドラマは少し物足りないかなと感じました。漫画家の苦悩や一度子供を失ってしまったことなど物語の展開として描かれそうな要素はあったものの、特に触れずに終わってしまいました。

 

まとめ

大人の事情を挟まない、子供と犬の物語でした。

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