「ヒトラーの忘れ物」(現代はLAND OF MINE)は2015年に公開。監督はマーチン・サントフリート。第89回アカデミー賞では、外国語映画賞にノミネートされた。
舞台はドイツによる5年間の占領が終わった1945年5月のデンマーク。
戦争の後始末をするため、集められたドイツの少年捕虜兵たち。ナチスが連合国軍の上陸を阻止する目的のため、西海岸に埋めた地雷の除去を命じられる。ラスムスン軍曹は、受け持った捕虜兵たちに、4万5000個の地雷を除去するまでは故郷に帰さないと言う。地雷は砂の下15〜20センチの深さに埋められていて、除去するのは簡単だというが、集められた少年兵には地雷除去の経験はない。無事、故郷に帰ることはできるのか。
2000人を超えるドイツ捕虜兵が除去した地雷は150万を超える。半数近くが死亡、または重傷を負った。そして彼らの多くは少年兵だった。
ハラハラドキドキの地雷撤去シーン
地雷の見つけ方は、砂浜に一列に並び、匍匐前進しながら棒で砂の下(15〜20センチ)を突っつき地雷を見つける。
地雷除去のシーンは手に汗握る緊迫感。地雷を除去する少年兵たちは、恐怖のあまり手が震えていつ爆発してもおかしくない。そんな緊迫感の連続でどんなアクション映画よりもハラハラする。
ラスムスン軍曹とドイツ捕虜兵
ドイツ兵を指揮するラスムスン軍曹はドイツを憎んでいる。デンマークの旗を持ったドイツ兵を見かけると「この旗には触るな」と言い殴りかかる。ドイツ兵が寝る家屋には鍵を閉め、二日間も飯が食べれていないので食料が欲しいと伝えるが、「勝手に餓死しろ。食料はいつ届くか分からない。ドイツ人は後回しだ」と。熱が出てても休ましてくれない。
そんなラスムスン軍曹だが、ドイツ兵と交流する内に憎しみが薄れていく。空腹のドイツ兵のために食料を調達したり、ドイツ兵が寝ている家屋の鍵を閉めなかったり、徐々に信頼関係が築かれていく。
演じる俳優もいつ殺されてしまうか分からなかった
マーチン・サントフリート監督は、登場人物と同じように孤独感や孤立感を出すため、少年兵を演じた俳優たちにいつ殺されるかを知らせずに撮影した。あの緊迫感は演じる俳優の演技を超えたものだったのかもしれない。