Netflix『あなたの知らない卑語の歴史』Eテレのような教養番組

あなたの知らない卑語の世界をニコラス・ケイジ先生が優しく教えてくれるEテレのような教養番組、Netflixで配信中の『あなたの知らない卑語の歴史』(20年)を紹介したいと思います。

面白いしタメになります。

 

あなたの知らない卑語の歴史

卑語

ニコラス・ケイジ先生の「fuck」連発の罵倒で始まる『あなたの知らない卑語の歴史』は、ニコラス・ケイジが案内役となり、俳優やコメディアン、言語学者を交えて卑語の語源や意味を面白おかしく掘り下げていく教養番組です。その卑語がどういう場面で使われているか、映画のワンシーンを使って紹介もしているので映画好きな人にはたまりません。

各エピソードに1つの卑語を掘り下げて、1エピソード20分と見やすい内容になっています。今回題材とする卑語は「fuck」、「shit」、「bitch」、「dick」、「pussy」、「dumn」の6つです。

今回はエピソード1で取り上げる「fuck」について簡単に紹介したいと思います。

 

fuck

最も人気で卑語界の頂点に君臨する「fuck」。

「fuck」について、コメディアンのザイナブ・ジョンソンは「ストレス発散や感情表現のための言葉」、同じくコメディアンのニッキー・グレイザーは「無人島に卑語を一つだけもっていくならfuckね」と話します。

使い方は幅広く、感心した時や驚いた時、人を怒らせることもできる万能な卑語です。

「fuck」の元々の意味は性交ですが、5世紀から13世紀の数千年間には性交という意味はなくて、14世紀の初頭から性的な意味が加わりました。しかし、禁句ではなく約400年間は卑俗的な意味に極普通に使われていました。

中世の人々は結婚後の性交に王の許可書が必要でした。その行為が「Fornication Under Consent of the King」と呼ばれ頭文字を取って「Fuck」となる頭文字語源説があるらしいのですが、「ウェブスター辞書あるいは英語をめぐる冒険」の著書・コーリー・スタンパーによるとデタラメだそうです。

語源学的には、中世のオランダ語の動詞からきていて、意味は「吹く」や「たたく」です。

1200年代の書物で初めて使われ、1500年以前の書物では稀でしたが、人名には使われることがありました。ジョン・ルファッカー、ファックバターなどなど。英語の名字は仕事や特徴からきていることが多いので、ふしだらな性交をしていたのか何かを叩いていたのか…。

 

なぜ、卑語を使うのか

卑語を言うとアドレナリンと血流が増加して痛みなどに耐え易くなるため、つま先をぶつけた時やショックな出来事があったときなど人間の条件反射で咄嗟に出ます。

エピソード2では、氷水に手を入れて卑語を言うのと言わないのではどちらが長く手を入れていられるか実験をするのですが、卑語の力は絶大でした。

 

偉人たちの最後の言葉

絵本作家のロアルド・ダールの最期の言葉は「fuck」と言い、コメディアンのW.C.フィールズは、愛人のカーロッタ・モンティに看取られながら「Goddamn the whole fucking world and everyone in it except you, Carlota!」と言ったそうです。「君以外の世界の人間はくそくらえ」みたいな意味です。

 

ヘイズコード

「fuck」は最も使われる卑語ですが、テレビや映画では検閲されます。米国映画協会は、「fuck」が2回以上出てくる映画をR指定にします。『キングコング:髑髏島の巨神』(17年)でサミュエル・L・ジャクソンが「マザーファッカー」を言おうとしたところ、キングコングに邪魔される場面はR指定を阻止しています。

1960年代までは、ヘイズコードと呼ばれる自主規制で禁止用語をつくりました。しかし、ヨーロッパの映画では性行為など過激な描写やリアリティを反映させていたので、アメリカ映画を見る客は減少しました。そこで、年齢制限を設けるレイティングシステムを導入し、徐々にリアリティを反映させました。

G指定は誰でも見られる映画。PG指定は多少の暴力や卑語がある映画。PG13は「fuck」が1回だけ出てくる映画。R指定は何でもOKです。

卑語が解禁されたことにより映画の人気を取り戻しました。人々は卑語を求めているのでしょう。

ちなみに、テレビで初めて「fuck」が使われたのは2004年の『サウスパーク』で、映画だと『M A S H マッシュ』(70年)です。

 

最も多く卑語を使う俳優

最も多く卑語を使う俳優で思い浮かべるのがサミュエル・L・ジャクソンですが、本作の調べた結果だとジョナ・ヒルだそうです。

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(13年)では107回も卑語を使っています。サミュエル・L・ジャクソンもキングコングに邪魔されなかったら…笑。

ちなみに、2位はレオナルド・ディカプリオ、3位はサミュエル・L・ジャクソン、4位はアダムサンドラー、5位はアルパチーノです。

 

まとめ

映画でよく聞くあの卑語はそういう意味だったのかと目から鱗でした。

他の卑語のエピソードも面白おかしいので、ぜひ興味のある方は見てください!

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