実写版「約束のネバーランド」は、ノーマンとずとまよに救われる。

日本の漫画の実写化は怖いもの見たさで見てしまう。もしかしたら、次は成功するかもしれない、きっと漫画家の人たちもそういう気持ちで実写化の許可をだしているはず…

ということで、今回は日本の大人気漫画を実写化した映画「約束のネバーランド」(以下、約ネバ)について、だらだら書きたいと思います。物語の結末については触れていないのですが、ネタバレ注意です。

 

約ネバとは

「約ネバ」は、週刊少年ジャンプで連載していた超人気漫画です。

孤児院を舞台に物語は始まります。孤児院のシスターであり、子供たちからはママと呼ばれ慕われているイザベラ(北川景子)は、子供たちの世話をして過ごしています。子供たちは、特殊なテストを受けて優秀な子供に育てられ、里親が見つかるのを待ちます。面倒見の良いエマ(浜辺美波)、頭脳明細なノーマン(板垣李光人)、いつも本を読んでいるレイ(城桧吏)の三人は、テストの点数はフルスコアで超優秀。孤児院を代表する子供たちです。

ある日、里親が見つかったコニーが孤児院を出ますが、大事にしていた人形を忘れてしまいます。気付いたエマとノーマンは人形を届けるべく近づいてはいけないと言われる門に行きます。そこには、コニーの死体、鬼と呼ばれる怪物、イザベラがいました。鬼は子供たちを食肉と言い、イザベラは子供たちを鬼に引き渡していたのです。真実を知ってしまったエマとノーマン。壮大な脱走計画が始まります。

主人公には浜辺美波。主題歌を担当するのは「ずっと真夜中でいいのに。」。人気者大集合、若者文化を捉えた映画になっています。ずとまよと呼ぶのは照れくさいですね。

 

シスターの完成度は高いが、怖さが足りない

予告でもその凄さが伝わってくるのですが、北川景子と渡辺直美のシスターの完成度が高いです。北川景子の目力と渡辺直美の顔力は漫画に負けず劣らず。渡辺直美は自由に楽しそうに演じていたように見えました。

シスターについて強いていうなら、もう少し怖くても良かったなと思いました。雰囲気はホラーなので、ビックリするような演出もあって良かったと思うのですが、最大限にまで怖さを引き出せなかった気がします。スティーヴン・スピルバーグ監督の「ブリッジ・オブ・スパイ」(2015)で、銃弾で窓ガラスが割れる場面があるのですが、窓ガラスを映しカメラが引いていくところで、これは銃で撃たれるなと分かっているにもかかわらず体がビクッとなるほど怖い場面がありました。振り向いたら渡辺直美が凄い形相をしているとか。そういう演出、ホラー要素がほしかったです。

あと、優しいイザベラの場面が少なかったので、こんなに優しいママだという場面がほしかったです。そのギャップで、優しい顔をしているけど本当はヤバイ奴だと怖さを引き出せたと思います。ギャップが足りなかった気がします。

 

足を引っ張ってしまったのはレイ

多くの人が気になると思うのですが、レイの演技がイマイチで話が入ってきません。滑舌が悪く言葉が聞き取れず、カッコつけすぎています。レイ役は「万引き家族」(2018)で、リリー・フランキーの息子を演じた城桧吏(じょうかいり)です。「万引き家族」では素晴らしい演技をしていたのですが、「約ネバ」では完全にやっちまった状態です。脱獄する時に、幼い子たちは足手まといになるから置いていけという台詞があるのですが、一番の足手まといは…。

何でこうなってしまったのか調べてみると、撮影中に声変わりをしてしまったため後から録音し直したそうです。アフレコでの演技は難しかったようで、このような結果になってしまったそうです。何というタイミングでしょう…。(城桧吏さん(俳優)声変わりで録音し直す苦労も

 

ノーマンと、ずとまよに救われる

色々と気になるところはありますが、それを払拭してくれたのがノーマンです。ノーマンは、僕が思い描いていたノーマンで演技が素晴らしいです。ノーマンを演じているのは板垣李光人。インスタ見ていると女性?と思うくらい中性的で可愛らしい顔をしています。男の僕でも惚れますよ。

ずとまよの主題歌「正しくなれない」は、何やかんや良い感じの映画を見たあとの気分にさせてくれる重厚な音楽です。エンディングの映像はアニメ画みたいになっていて、PVかと思うくらいカッコよかったです。「君は彼方」(2020)を見た時も思ったのですが、主題歌は大切だと思いました。