ラブ・ストーリーは突然に「パンチドランク・ラブ」

今回は「恋愛っていいな」と思える少し変わったロマンティック・コメディ「パンチドランク・ラブ」を紹介したいと思います。監督はポール・トーマス・アンダーソンなので一筋縄ではいきません。

 

作品情報

  • 監督 ポール・トーマス・アンダーソン
  • 脚本 ポール・トーマス・アンダーソン
  • 製作 ポール・トーマス・アンダーソン、ダニエル・ルピ、ジョアン・セラー
  • 出演者 アダム・サンドラー、エミリー・ワトソン、フィリップ・シーモア・ホフマン、ルイス・ガスマン
  • 音楽 ジョン・ブライオン
  • 撮影 ロバート・エルスウィット
  • 編集 レスリー・ジョーンズ
  • 上映時間 95分

 

ラブ・ストーリーは突然に

バリーは目の前で自動車が横転する事故を目撃します。その後、別の車がハーモニウムを外に捨てます。ここから物語は始まります。

オフィスで作業をしているバリーの下に一人の女性(リナ)が訪れます。彼女は、隣の自動車修正工場に用があったのですが、朝早かったため工場はまだ開いています。バリーが代わりに車を預かることになります。バリーは自動車の鍵を受け取ると影に隠れドキドキしています。彼女と別れた後、バリーは外に捨てられたハーモニウムをオフィスへ運び修理します。浮かれているバリー、鮮やかに映し出される色。これが恋の始まりです。

路上に捨てられたハーモニウムは二人の「恋愛」をあらわしています。突然やってきたのです。自動車の横転事故も突然やってきた恋の衝撃をあらわしています。恋は突然やってくるのです。最後はバリーがハーモニウムを弾いているところ、リナが後ろから抱きしめ「さぁ、始めましょう」の一言で終わります。これから一緒に歩んでいこうという意味です。

 

プリン男

バリーは飛行機のマイレージが500マイル貰えるキャンペーンに応募するため、スーパーで1万個もプリンを買い占めます。これは本当にあった話が元になっています。

プリン男と呼ばれるデヴィッド・フィリップスは、貰えるマイレージがキャンペーン対象商品の価格を上回っていることに気づき、1万2000個もプリンを買い占め125万マイルを獲得しました。

バリーはプリン男だったのです。

 

姉からの抑圧

バリーは7人の姉からの抑圧で女性に対して不信感を抱きます。

バリーがお客さんに商品説明をしていると姉から電話がかかってきて、パーティに来るのかどうか聞かれます。また別の姉から電話があり「今はお喋りしている暇はない」と伝えると「生意気だ」と逆ギレされます。またまた別の姉から電話があり、パーティに行けるかどうかしつこく聞かれます。バリーは頭が上がりません。パーティーではバリーをゲイ扱いし、姉から抑圧され女性に対して不信感を抱いていることが分かります。

我慢の限界にきたバリーは窓ガラスを叩き割ります。ついにフラストレーションが爆発しました。精神科医の姉の夫に相談し、相談したことは姉たちには内緒にと言いますが後にバレます。バリーには味方がいません。

姉から電話が何度もかかってくるシーンはなぜかゲーム「MOTHER」を思い出しました。ギャグや電話の音、BGMが「MOTHER」を思い出しちょっと懐かしかったです。

バリーの自信の無さと根暗なところは完全に姉のせいですね。何であそこまで嫌がらせをするのでしょうか。しかも、7人って多すぎです。

 

ネクタイの色

バリーとリナの関係はバリーのしているネクタイがあらわしています。孤独なバリーは青いスーツに青いネクタイをしていますが、リナに会った翌朝のネクタイは黄色に変わっています。黄色はこれから何かが起こりそうな予兆をあらわしています。リナと食事しているときは紫のネクタイをしています。紫は青と赤を混ぜた色、つまり、人を好きになる勇気が持てない孤独感と好きになってしまった抑えられない恋の情熱が色にあらわれています。

どうしていいか分からないバリーは、リナの自宅に行きますが特に何もせずに帰ってしまいます。その後、電話でキスして欲しかったと言われ急いでリナの部屋に行き熱いキスを交わします。次の日のネクタイは赤色に変わっています。リナの真っ赤な服、リナの色に染まっていったのです。

この映画は色の表現が美しいです。ネクタイの色だけではありません。バリーの孤独さは着ている藍色のスーツや白と青の配色が印象的なオフィスで表現されています。リナと出会い恋心が芽生えた後に映し出される鮮やかなレンズ・フレアには、恋だけでなく色々なことが起こることを象徴しています。

 

感想

ちょっと変わった恋愛映画ですが、ギャグもありハラハラするところもあり面白かったです。

バリーは姉や自分に対して嫌気がさし暴力を振るっていましたが、愛する人ができて愛する人のために暴力を振るシーンは感動しました。

素直に恋愛っていいな、と思える映画です。