ある日、映画館で本編が始まる前の予告やCMを見ていたら、園子温監督の映画『みんな!エスパーだよ!』の予告編が流れていた。テレビドラマの映画化(続編ではない)で、ドラマ版は見てはいないが名前は知っているくらいの知識で何気なく見ていたら、出演している真野恵里菜の「鴨川くん、絶対私で〇〇するだろうな」という台詞を聞き衝撃が走った。その衝撃がNetflixで蘇った(いきなり関係ない話ですいません)。
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『GREAT PRETENDER』(グレートプリテンダー)
Netflixで先行配信されているアニメ『GREAT PRETENDER』(グレートプリテンダー)。監督は「91Days」(ナインティワンデイズ)の鏑木ひろ、脚本・シリーズ構成は「コンフィデンスマンJP」、「リーガル・ハイ」の古沢良太、キャラクターデザインは「新世紀エヴァンゲリオン」の貞本義行、音楽は「キングダム」(実写映画)のやまだ豊、制作は「進撃の巨人」のWIT STUDIO。エンディングテーマにはフレディ・マーキュリーの「The Great Pretender」。ヒットメーカーの勢揃いである。
主人公である自称天才詐欺師・枝村真人(通称エダマメ)は、人を騙してお金をせしめていた。ある日、浅草観光をしていた外国人バックパッカーを騙そうとしたが、逆に騙され大金を奪われてしまう。騙した相手は、マフィアから大金をせしめようとしているコンフィデンスマンのローラン・ティエリーだった。ひょんなことから枝村はローランと共にマフィアから大金を奪う計画に参加することに。詐欺師やマフィア、FBIが絡み三つ巴の戦いが始まる。
GREAT PRETENDERの意味は?
GREAT(グレート)は「すばらしい」、「すてき」という意味。PRETENDERは「~のふりをする人」、「詐称者」という意味。直訳すると「すごい詐称者」かもしれないが、エンディングテーマのフレディ・マーキュリーが歌う「The Great Pretender」では元気に振舞っているが、強がっているだけで実は孤独なんだという歌詞。
「すごい」または「とんでもない」「ひどい」といったネガティブな意味もある「great」を「pretender」につけて「great pretender」とすることにより、自分がいかに「ひどく強がっている人」かということを強調しています。
登場人物は過去に受けた心の傷で苦しみ、それを隠すために人を騙しているのかもしれない。本当に騙しているのは自分自身かも。そう考えるとエンディングテーマの「PRETENDER」は全てを物語っている。
ちなみに日本のTVアニメ史上で初めて、フレディ・マーキュリーの楽曲を主題歌として起用している。そういえば、『聲の形』でザ・フーの「MY GENERATION」が使われたようにアニメで洋楽が使われることが増えてきたな。
「コンフィデンスマンJP」との関係とは?
「詐欺師を題材」、「脚本に古沢良太」で真っ先に思い浮かべるのは長澤まさみ主演のテレビドラマ「コンフィデンスマンJP」。コンフィデンスマンが、悪徳企業のドンやマフィアのボスなど欲望にまみれた金の亡者達から、あらゆる手段を使って金を騙し取る、一話完結型の物語。「TVアニメ「GREAT PRETENDER」(グレートプリテンダー)公式プロジェクトPV」で古沢良太が以下のように述べている。
「こっち(GREAT PRETENDER)の方が早く始めている」
「(コンフィデンスマンJP)とは兄弟というか従兄弟くらいの感じ」
まさかの『GREAT PRETENDER』の方が早く始めているとのこと。ドラマを経てアニメではなく、まさか原点はここだったのか。
世界各地を取材
「リアリティを出すために、世界中を取材しています」#グレプリ の #岡田麻衣子 アニメーションプロデューサーが語る、取材に裏打ちされた美術や色彩にも、ぜひご注目ください!
主要スタッフ出演のプロジェクトPVhttps://t.co/oAFX4LuAOs#GREATPRETENDER pic.twitter.com/VM8lBy2Hva
— アニメ「GREAT PRETENDER」(グレートプリテンダー)公式 7/8(水)TV放送開始! (@GrePre_anime) May 30, 2020
公式のツイッターに世界中を取材したとの投稿が。インタビューでも以下のように述べている。
――主人公の枝村たちは海外を飛び回るわけですが、舞台設定はどのように決められたのですか?
古沢:世界中いろいろな都市で、いろいろな悪いヤツをだますというところから始まって。映えるところを選んでいきました。
鏑木:だから観光地が多いです(笑)。
――では大掛かりなロケ班も?
鏑木:そこは予算もあるので(笑)。行けるところは行って写真を撮って、行けないところはグー●ルさんのお世話になりました(笑)。
引用:脚本は映画数本分!?実写ではできないことをアニメでやりたくて――夏アニメ『GREAT PRETENDER』鏑木ひろ監督×脚本・シリーズ構成 古沢良太氏インタビュー
相当な制作費がかかっていそう。恐るべしNetflix。
アニメ見ない人にもオススメ
「アニメだからな・・・」と思い見ることをやめてしまう人がいるかもしれないが、Netflixのドラマや映画が好きな人にはぜひ見て欲しい。三船敏郎や沈黙シリーズのパロディ、『アンタッチャブル』のオマージュなど映画好きな人なら絶対に楽しめる内容となっている。CASE1である「ロサンゼルス・コネクション」の全5話を一気に見て、これは面白い、最高すぎると思い当記事を書こうと思った。監督の言葉を借りるならまさに「勢いとカオス」(TVアニメ「GREAT PRETENDER」(グレートプリテンダー)公式プロジェクトPVで述べている)。ぜひ、オススメです。
冒頭に述べた「衝撃」とは?
ここまでくると冒頭の「衝撃」はどうでも良くなっていると思うが、信用詐欺師(コンフィデンスウーマン)のアビゲイル・ジョーンズ(通称アビー)がエダマメに向かって「自分の巣の中で、〇〇していろ童貞」というセリフがある。『みんな!エスパーだよ!』で真野恵里菜が言い放ったあの言葉のように衝撃を受けた。このセリフがなかったらここまでどハマりしていないと思う。セリフが素晴らしい。