【ネタバレ】なぜアキは悲惨な目に遭うのか「スピンオフノベル THE HEAD 前日譚 アキ・レポート」

Huluで配信中のオリジナルドラマ「THE HEAD」のスピンオフ小説「スピンオフノベル THE HEAD 前日譚 アキ・レポート」の感想を書きたいと思います。本編と同じくらい面白かったです。

「THE HEAD」の本編に触れているので、まだ見てない人はネタバレに注意してください。

ネタバレなし

作品概要

スピンオフでは、アキが越冬隊に参加するまでの物語が描かれています。アキが覚醒剤を使うようになった理由や兄との約束など本編では詳しく明かされていなかったことが描かれています。最後はゾッとします。

 

登場人物

小林亜綺(アキ)

微生物学者。南極へ行くため浜田教授の研究を手伝う。

 

大石梨花

帝都大学の微生物学科に所属する大学院生。アキに恋心を抱いている。

 

浜田竜彦

帝都大学微生物学科教授。アーサー・ワイルドとは長年の友人。

 

浜田芳樹

浜田竜彦の息子。アキとは同い年。父親のコネで微生物関係の仕事に就くため、アキの研究を手伝う。

 

麦野

浜田教授の研究室のメンバー。ぼんやりした眼鏡の男。

 

米原

浜田教授の研究室のメンバー。でっぷりした眼鏡の男

 

あらすじ

南極で研究することを夢見ているアキは、浜田教授の研究に誘われ、研究の成果を上げてくれたらアーサー・ワイルドの研究室に推薦すると約束される。研究するのはメタンガスを高分子有機物に変換するメチロコカス・オパカス。培養に成功すれば地球温暖化の進行を止めることができる。

浜田教授の研究員(麦野、米原)と協力するが上手くいかず、アシスタントの大石梨花を雇って二人で研究を進めることに。研究を進めていると浜田教授から呼び出され、息子の芳樹も研究員に加わることになる。芳樹はフランスの哲学者を専攻する文系。父親のコネで微生物関係の仕事に就こうとするが、微生物分野の経験が全くないのでアキに協力し実績を上げようとしていた。

メチロコカス・オパカスの反応が出る。採取した場所は動物園のギフトショップで売っているポストカード。カードは象の糞から作られていた。三人はカードの生産国であるタイに向かうことに。

この後、タイではひょんなことから象の面倒を見ることになり、ある事件に巻き込まれカーチェイスにまで発展し、アキの命に危険が迫ります…。無事に研究を終えることができるのか。

 

アキの優しさ

アキはとにかく人にも動物にも優しいです。デンマーク語の翻訳スタッフが風邪で休み専門書類の翻訳に困っていた動物園の女性スタッフを助けます。アルパカの唾液を採取するため優しく声をかけたり、自分の研究よりも動物を大事にしたりと動物に対する思い、優しさが伝わります。そんな様子を見ている梨花はアキに首ったけです。本編で死んだアザラシを埋めていたのにも納得できます。この優しさが自分の首を締めることになりますが…。

 

アキの兄

アキの実家は日本酒を作っている酒造でした。アキが10歳の時に兄が実家の酒造を継ぎました。両親の代で経営が傾き、銀行が融資してくれなかったり経営に苦しんでいました。アキの学費を払うのもギリギリでした。

ネタバレあり

ここからはスピンオフのネタバレを含みます。

悲惨な目に遭うアキ

アキの兄の酒造をNIM(NationalInstituteofMicrobiology 国立微生物学研究所)が訪ね、オリジナルブランドの開発に協力します。NIMは日本一の微生物学の研究所です。それから1週間後、アキは酒造の異変に気付きます。日本酒は白濁し腐っていたのです(火落ちと呼ばれる)。翌日、兄は首を吊って自殺しました。経営が悪化している中、唯一の商品がダメになってしまい自殺を選んだのでしょう。半沢直樹と同じ展開です。

アキは大学生になり、就活生向けの企業説明会に参加していると出展していたNIMのリクルーターに話しかけられ、NIMが製造しているお酒を貰います。匂いを嗅ぐと兄がつくっていた日本酒にそっくりでした。ハッキリとは書かれていませんが、おそらくNIMが兄のつくった日本酒をダメにしてアイデアを盗んだのでしょう。

メチロコカス・オパカスの採取のために行ったタイでは象の面倒やカーチェイスに巻き込まれ、脇腹を刺される事態にまで発展します。

タイから帰国したアキは天下のNIMも研究に参加すると知る。教授からNIMと一緒に研究しないかと誘われますが断ります。兄を殺した会社と協力することはできません。

不眠不休で研究するものの、一人では限界があります。そんな時、芳樹から覚醒剤(アンフェタミン)を貰います。NIMと戦わなければいけない、何としてでも南極に行かなければいけない。兄との約束を果たさなければいけない。思いが強くなり、ついに貰った覚醒剤を使います。第四話で明かされた覚醒剤を使っていた理由はこれだったのです。

覚醒剤を使い脳が活性化し研究は捗るが、次第に幻覚や幻聴が見え始め禁断症状まで現れるようになります。それでも、研究のため使うのをやめませんが、ついにメチロコカス・オパカスの培養に成功します。

研究室で寝ているアキを梨花が起こし、二日前に停電があったことを教えます。停電があったことを気付かなかったアキは何日寝ていたのかと混乱し、メチロコカス・オパカスを確認すると死滅していました。メチロコカス・オパカスは寒さに弱く、室温は二度まで下がっていました。採取したサンプルも無くなり、絶体絶命のアキを見かけた浜田教授は、NIMがメチロコカス・オパカスの培養に成功したと伝えます。アキの研究は終わってしまいました。

アキはNIMに就職が決まった芳樹と話します。芳樹はアキの実家を調べ、才能がない兄のせいで廃業したと悪口を言います。怒ったアキは芳樹を殴り、馬乗りになり殴り続けます。芳樹は全治三ヶ月の怪我を負いました。多くの学生が見ていましたが、芳樹は転んだと言い張り、刑事事件にはなりませんでした。第四話の最終試験で卑怯なマネをした友達を殴ったと言っていましたが芳樹のことでした。

 

梨花の恋心

梨花はアキに惚れていました。プロローグはアキに惚れている梨花の様子が書かれています。

梨花は芳樹にNIMの内定と引き換えに、アキの研究成果をNIMにリークしてくれとお願いします。梨花はアキのことが好きすぎて離れたくない、南極に行ってしまったら遠い存在になってしまうと思い計画を実行しました。

アキに覚醒剤を進めたのも梨花の指示だとすると物凄い嫌な奴です。芳樹はいい奴だと思っていたのですが、結局NIMの内定が欲しかっただけなのでしょう。タイで刺されたアキのことを心配する様子は胸熱だったのに…。

 

アーサーがアキを選んだ理由

梨花、芳樹に悪いニュースが届きます。「アーサー・ワイルドはアキを選びました」と。梨花は思わず「嘘!?」と一言。

この瞬間、僕の中では鳥肌が経ちました。ガッツポーズしました。やっと、アキが報われる。

浜田教授が米原を推薦していたのにも関わらず、アーサーはなぜアキを選んだのでしょうか。自ら論文を読んで決めたといいます。米原が作った研究計画書はひどい出来だったとアキが見る場面があります。論文の出来も悪かったようです。浜田教授も褒めているアキの論文が優れていたので選んだのでしょう。

 

本編のことを思い出すと…

アーサーに選ばれたアキはこの後、南極に向かいマギーに殺されてしまいます。アーサーに選ばれなかったらと考えてしまいます。息子二人を失った両親がかわいそうです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です