こんにちは、つけものなすです。
今回は『アイヌ文化で読み解く「ゴールデンカムイ」』の感想を書きたいと思います。
著者
- 著者:中川 裕
- 「ゴールデンカムイ」のアイヌ語監修者
- 1955年神奈川県生まれ
- 東京大学大学院人文科学研究科言語学博士課程中退
- 千葉大学文学部教授
- 参考:https://shinsho.shueisha.co.jp/kikan/0972-d/
「カムイ」とは
- 日本語の「神」と同じような言葉である
- 犬や猫、木や草などもカムイ(全てのものに魂がある)
- 人間にできないことをしているもの、人間の役に立っているものを特にカムイと呼ぶ
- クマやトリ、炎などは擬人化して人間の世界にやってくる(カムイの世界は夢の中で見ることができる)
- 人間はクマやトリなどを獲り、感謝をとしてお酒や米、団子などを送る
- 人を殺したりしてウェン・カムイ(悪い神)となった熊は、肉を食べず毛皮も取らない(悪い魂が再び肉体をもって現れないようにするため)
- アイヌの男性に求められる素質は雄弁、度胸、美貌
- カムイの弱点は汚いもの、臭いもの
アイヌの先祖
- 14世紀ごろから文献によって知られる
- 本州が平安から鎌倉に移るくらいのときにアイヌ文化が成立する
- 北海道ではオホーツク文化が擦文文化に吸収されアイヌ文化となる(鉄製品が豊かになったため土器の使用をやめる)
- 料理の中心は鍋料理(オハウ)
- 1604年、松前藩が徳川家康から黒印状を受け取り、松前藩が正式に確立する
- 北海道では米がとれなかったため、アイヌ人との交易権を給与とする(商場知行制)
- キリシタン禁制のため、本州から逃げ出した人が移民となりやってくる
- 1669年、シャクシャインの戦い(アイヌ人 対 和人)アイヌの敗北となる
- 明治維新以降、日本政府はアイヌの土地を無人の土地を開拓するように推し進める
- 鹿の禁猟、サケの禁漁
- 次第にアイヌ語を使っていては生活ができなくなる状態になり、アイヌの文化は衰退していく
名前
- 子供の名前を付けるときに、自分の知っている同じ名前をつけてはいけない(太郎のようなよくある名前がない)
- 生まれてすぐには名前を付けない(6,7歳になってようやくつけることもある)
- それまではアイヌ語で「濡れているもの」「うんこのかたまり」などカムイに魂をとられないように汚い言葉で呼んでいた
- アシㇼパの名前の候補はいくつかあったが、野田先生の発案で決まった
- 村同士の争いは言葉で解決する(チャランケ)
- 判事を設けずにお互い弁を述べ、最後まで述べていた方が勝ちとなる
- 相手が述べているときに口をはさんだり、イライラして席を立ちあがると負けとなる
- カムイに祈るときは、心の中ではなく口に出して言う
- カムイと人間は同等なので、「神様、助けてください」→「神様、助けないと罰が当たるよ」と脅し口調にもなる
- アイヌ語の地名は地形の説明が多い
ウエペケレ(昔話)
- 昔話だが、本当にあった出来事だと考えられている
- 人間だけでなくカムイの視点も描かれている
- アイヌ神話集(著者・知里幸恵)がオススメ
- ユカラ(英雄叙事詩)はドラゴンボールのような少年漫画の世界観に似ている
- イオマンテの儀式のときに話すが、いい場面でやめてしまう(カムイが続きが聞きたくてまた人間の世界に来てもらうため)
- 昔は文字を持たず口頭で伝えていた(記憶力に長けている)
信仰
- 全てのものに魂があり、人間と同じように人格をもっている
- 昔は土葬をしていて、副葬品として故人が使っていた食器や煙草を入れていた
- その際に肉体から魂を開放するため、副葬品に傷をつけていた
- お供え品もそのままではなく、煙草に火をつけたり団子を切ったりしていた
- 昔は虹を恐れていた(見つめてはいけないものとされていた)
- きれいなものにはウェン・カムイも集まるとされている